飲み会で決まってしまった新規事業!その時三代目社長が取った行動はファクタリング!?


三代目社長をやっています。会社の経営は父と祖父がうまくレールを敷いてくれたので、私がやることは特に多くはありません。しかしそんな私でも何か世の中に役に立てることがないかと思い、業種交流会に参加することはもちろん、社会的な意義のある経営者同士のネットワークにも日々加盟するようにしています。

その中での活動にはかなり力を入れており、そのような部分で他の人よりも多く人生の修行をさせてもらっているような感じです。

そしてそのネットワークの中でも特に新参者で、まだ年齢も若い私は色々と先輩の経営者の方からご指導をいただくこともあり、そのおかげで会社の売上も年々向上しつつあるような状況でした。そして私はある夏に大きな決断をしました。私の会社で使っている製造に関係する機械を新調することにしたのです。いよいよ機械の納品と支払いを経て、これから増産体制に入れそうだという時に・・・あの悪魔の飲み会があったのです。

ところで、やはり意識の高い経営者の方の集まりともなると、ネットワークの中で何か新しいビジネスをやってみようじゃないかという声がかかることもあります。

そして、その飲み会にて。

なんと先輩経営者の方々が会社を作ることになったというわけです。新しいビジネスに参入するために様々な経営者・士業の方々がその話に加わっていき当然ですが、私も話しの成り行き上、それに加わることになってしまいました。

皆さん出資の金額の話を色々とされていましたが、どう考えても私が断れるような状況ではありませんでした。それも会社では機械を購入したばかりで、新しく捻出することができる費用はほとんどありませんでした。

なんとか20万円程度で手を打てないかとドキドキしながら話を聞いていたのですが、やはり皆さん100万円単位で出資するような形でした。そして私の番になった時に、泥酔した先輩達が「お前は絶対に100万円を出資してひとつステップを登った方が良い」と口々に仰られました。そうしたいのは山々ですが、100万円なんて出せませんよ、と言おうとした時、私の脳裏にふとよぎったことがあります。

前回の飲み会で私は調子に乗ってしまい、100万円くらいならいつでも出資します。と大口をたたいてしまっていたのです。

さすがにこの状況下でお金がないと断ってしまうと、どう考えても会社自体の信用を失ってしまうことにもつながりかねませんでした。

そのため私はとにかく100万円は何とか用意します。と笑顔を作って答えておき、実際にその話は「飲み会での話」として流れてくれることをひたすら祈りました。しかし駄目でした。

翌日お酒の抜けた先輩方から「会社を立ち上げることにしたので、必ずこの日までに100万円の出資金を口座に振り込むように」と全体メールが入りました。皆さんお酒が抜ければ一流の敏腕経営者の方ばかりですから、行動が非常に早く、私もすぐにお金を入金しなければ雰囲気的におかしな話になってしまう状況でした。

こうなると撤退すれば良いだけのことではないかと言われそうなのですが、実際に社長同士のネットワークを考えるとそうもいかないんです。この状況、わかってくれる方は多くいらっしゃると思いますが、とにかく状況が状況だけにお金を作らなければなりません。

しかしそのためだけに融資をおろすと言うとなかなか噂も広まってしまうでしょう?

そもそも、私一人でどうこうできることでもありませんでした。そこで私の父の代から秘書をしてくれている年上の秘書にこっそりと相談してみたところ、意外に怒られることはありませんでした。

いわく、長く商売をしていれば、そのようなことも必ずあるとのこと。

しかし資金繰りの関係上、お金を大きく動かすことはできないということでした。その代わりにファクタリングという方法があるということを教えられました。

ファクタリングというのは手形割引のような形で、すでに確定している売掛債権の中から手数料を割引ですぐに現金化することができるというサービスでした。

日本国内でもファクタリング業者は多数存在し、融資の申し込みではなくあくまでも売却ということなので、中古車を1台売却してお金を得るのと大差ないシステムであるということも説明を受けました。

そうなると売却できそうな売掛債権を探すことになったわけですが、幸いにして会社が長く存続しているので売掛債権はたくさんありました。私はいくつかの売掛債権をまとめてファクタリング会社に連絡を取りました。もちろん取引先も創業から長い老舗の会社さんですから、一発で審査は通り、その日の午後にはファクタリングで買い取ってもらった現金が会社の口座に振り込まれてきました。

貸借対照表や会計上も融資という形ではなく売上金として計上することができ、会計上も特に問題にはならないということでしたので、これをもとに私は安心して新規事業に出資をすることができました。

私は今では自分の本業の代表取締役社長の他に、新しく先輩経営者たちが立ち上げた会社の取締役としても活動しています。新しい会社では全く新しい経験が多くて、お飾り社長などと言われないように日々精進しているところです。

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