私の実家は代々石材屋を営んでおり、私はいわゆる三代目社長です。三代目が会社を潰すとは昔からよく言われるので、会社を潰さないように、小さな頃から経営を学び、そして職人さんたちとも良好な関係性を築き、今まで真面目にやってきました。
しかし、石材の仕事だけではなかなか資産運用や会社の今後の事を考えると難しいものがあり、古い言葉で恐縮ですが財テクを始めようと、この度不動産の投資にも手を出し始めました。
会社の持ち物という形でワンルームマンションの一室を持つことにしたのです。そして、ワンルームマンションというのは探せばいくらも売りに出ているものがあり、その中でも今回特に不動産会社イチオシの物件を抑えることに成功いたしました。
そして、こちらの物件の取得についてはその費用を銀行から融資してもらうことに決まっておりました。
個人で不動産物件を売買するわけではないので、いわゆる事業融資の一つとして受けることになっていたのですが・・・おそらくはほぼ審査に通るということで、不動産売買の時に個人の方がよくつける特約である「住宅ローンの審査に通過できなかった場合にはリスクなしでキャンセルすることができる」という特約はつけずにおりました。
ところがどっこい、蓋を開けてみたらまさかの金融機関NG。特にこちらに落ち度はないはずなのですが、どうやら私どもの会社が畑違いの不動産投資に手を出したことが、田舎の金融機関でしたから支店長さんの目には怪しく映ってしまったのではないか、ということでした。また私が三代目社長だということももしかしたら審査上、何かしらマイナスに動いたのかもしれません。そこで、困ってしまったのが物件の取得です。
今から新たに金融機関を探しても到底物件の契約日までには間に合いません。すでに司法書士さんとのスケジュール調整も進んでおり、今更お金を出すことができないなど口が裂けても言えませんでした。
物件そのものにケチも付いておらず、実はすでに入居者さんが入っている物件を買い取るという話でしたので、このままではみすみす利益を逃してしまうことになります。それどころか信頼まで失ってしまいかねません。
会社の内部留保から出す方向も考えましたが、こちらはこちらで本業に使う新たな機械の導入を検討している段階で、大きなお金を動かすのは憚られました。
そこで考えたのが、現在保有している売掛債権のうち、入金サイクルを早めてもらうような交渉をすることでした。
先代からのお付き合いのある会社さんですから、頭を下げて誠心誠意回れば話を聞いてもらえるのではないかと思ったのです。しかしよくよく考えてみたら「会社の資産運用のために不動産を買うので、その取得代金のために御社の買掛金を早く払ってください」
なんて口が裂けても言えませんし、実際に言ったところで取引停止になるのが関の山でした。それどころか、会社の評判まで落としてしまいかねないということに思い至り、結果的にファクタリングで資金調達を行うという結論に至りました。ファクタリングというのはご存知の通り、請求書を発行した債権のうち、すでに向こう側に了承をもらってあとは入金を待つだけとなっている債権を買い取ってもらうというサービスです。
様々なファクタリング会社が出てきているので最近は会社選びも楽になりましたが、ここでは一括査定サービスを使って一番条件の良いところと契約する事にしたのです。結果的に、一括査定サービスを使ったところ、少ないところで70数パーセント、高い所では9割で買い取ってもらうことに成功したのです。これにより、銀行からの審査NGになってしまったということをバラすこともなく、会社の評判が下がることもなく、それでいて資金繰りに穴を開けることなく物件の取得に成功したというわけです。
「ピンチをチャンスに」
という言葉はよくありますし私も好きな言葉ですが、このように会社の経営や資金繰りに行き詰まった時には、目線を変えて「頭を下げることなく資金調達をする方法」も一つの選択肢かなと思いました。
今の世の中、中小企業が生き残っていくためには資産運用などを含めて様々な戦略を取る必要があります。今回そのことを身をもって勉強させていただきました。
ちなみにファクタリング会社選びは、一括査定サービスを使うこと以外私の選択肢にはありません。一つ一つの会社に打診をして、それから審査の結果を待つのでは金融機関の審査と大差ありませんし、場合によっては利率がかなり不利な条件での契約になることも考えられるからです。やはりファクタリングは一括査定サービスを使って相見積もりを取るというのが鉄則だと私は感じています。