【無担保融資】事業の資金がなくて困ったときに担保がなくても借りられる制度や方法とは?

企業経営をする中で、どうしても資金不足という場面はあるかと思います。こうしたタイミングで利用するのが資金融資かと思いますが、その資金融資には担保融資無担保融資があります。

担保融資の場合、担保となる財産や保証してくれる人物が必要ですが、無担保融資であれば、こういった財産などは不要です。

経営者としてはできれば無担保融資がありがたいかと思いますが、では無担保融資にはどのようなものがあるのか?また、どのように申し込むのか?詳しく知らない方もいいかと思います。

この記事では、無担保融資の種類や利用方法、さらに利用に関する注意点を解説していきます。

担保融資と無担保融資の違い

企業が事業資金を確保する方法はいくつか考えられます。その方法の中心となるのが、資金融資、つまり借り入れです。

この借り入れに関しても、2つのタイプがあり、保証人や担保が必要となる担保融資と、保証人や担保が不要の無担保融資の2種類となります。

この2つの融資方法それぞれのメリットとデメリットを把握しておきましょう。

担保融資のメリットとデメリット

担保融資のメリットには以下のようなことが挙げられます。

金利が安い傾向にある
借入金額を高額に設定することができる

担保融資とは、何かしらを担保に設定し融資を受けるため、返済ができなかった場合はその担保を失う融資ということになります。担保があるからこそ金利は安めの設定になりますし、担保次第では高額の融資も期待できるということになります。

では、実際どのようなものが担保となるのかも紹介しておきましょう。

・不動産
・有価証券
・売掛債権
・保証人

担保として多いのが、不動産や株といった、その企業が持つ財産です。また、企業が持つ売掛債権も担保として認められるケースがあります。

保証人は、もし企業が返済できなくなった場合、代わりに弁済する個人のことであり、企業への資金融資の場合、その企業の代表者個人が保証人となるケースが多くなります。

続いて担保融資のデメリットも紹介しておきましょう。

当然ですが、返済が滞るなどがあった場合、指定した担保を失うリスクがあります。また、こうした担保の設定には時間がかかりますし、契約前の審査においては担保の価値に関する審査も含まれますので、どうしても時間がかかります。

急ぎ現金が必要というケースでは、なかなか利用しづらいというのが大きなデメリットといえるでしょう。

無担保融資のメリットとデメリット

無担保融資とは、上で紹介したような担保を用意する必要がない融資を指します。そんな無担保融資のメリットを紹介しておきましょう。

priority 借り入れまでのスピードが早い
priority 担保の準備が不要

なにより大きいのが、借り入れまでのスピードです。どの無担保融資を申し込むかにもよりますが、最短即日現金化というのも不可能ではありません。これは急ぎ現金が必要な企業にとっては、大きなメリットといえるでしょう。

また、当然ですが担保を失うリスクがないというのもメリットとなります。

では、反対にデメリットも確認しておきましょう。

× 借入金額は低めになる
× 金利が高い傾向にある

担保がないということは、貸し付ける金融機関にとってはリスクの大きい契約です。そのため契約できる金額は、担保融資と比較すると低めの傾向にありますし、また金利も高めに設定されることが多くなります。

短期的に考えれば、現金化のスピードが早いというメリットはあるものの、長期的に見ると高い金利を返済しなければいけないというデメリットがある契約と言えます。

代表的な無担保融資

続いては代表的な無担保融資について紹介していきます。一般的に銀行等に申し込む資金融資は担保融資となります。それ以外の融資方法で、無担保融資となるケースを紹介していきます。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、小規模事業者や中小企業の経営を助けるために設置されている公的金融機関です。そのため、融資商品にも多くの種類があり、その中には無担保で借り入れ可能な商品もいくつか存在します。

・新創業融資制度
・挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)
・マル経融資(小規模事業者経営改善資金) 等

日本政策金融公庫で扱う無担保・無保証の主な商品は上記の通り。

新創業融資制度は、主に起業直後、もしくは起業時に借りられる商品。一般的な資金融資は、過去の業務実績も審査の対象となるため、起業直後の起業では借り入れが難しくなります。こうした新しい企業に対し、無担保で融資を行う制度となっています。

過去の業務実績は不要で、これからの事業計画書が審査の中心となり、審査スピードが比較的早いのも特徴。また自己資本割合が10分の1に設定されるなど、借り入れしやすく、また高額融資も望める制度となっています。

融資限度額は3,000万円、そのうち運転資金は上限1,500万円となっています。

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)は新規事業のスタートや、海外事業の展開、事業再生に取り組む資金として活用できる商品です。もちろん無担保で、最大7,200万円まで借り入れが可能です。

税務申告を1期以上行っており、所得税の滞納がないことが利用条件ですが、特定の条件を満たしていれば、スタートアップ企業も利用可能な商品となっています。

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は小規模事業者のみが申し込める無担保融資。申し込む条件は、商工会や商工会議所などから経営指導を受けており、かつその長から推薦を受けた小規模事業者に限られます。

借り入れ上限金額は2,000万円で、運転資金の場合は7年以内、設備投資資金の場合は10年以内の返済となっています。

信用保証組合

厳密に言えば信用保証組合は金融機関ではありませんので、信用保証組合から借り入れるというわけではありません。

信用保証組合は、企業が金融機関に融資を申し込んだ際、その企業の保証を行う機関です。つまり信用保証組合がついていれば、金融機関等からの資金融資が受けやすくなるということになります。

基本的には金融機関に融資を申し込み、同時に信用保証組合にも保証の申し入れを行います。信用保証組合の審査において、保証可能となれば、保証組合から金融機関にその旨が通達され、金融機関で融資審査が行われるという流れになります。

上記が基本的な利用の流れですが、融資の方法には、信用保証組合に融資を申し込み、信用保証組合を通して融資を受けるという形もあります。

信用保証組合を利用した融資は、借り入れる企業が担保を用意しなくていいという点では無担保融資ですが、実質的には信用保証組合を保証人として借り入れる契約となりますので、厳密に言えば無担保というわけではありません。また、信用保証組合に対し保証料を支払う必要も生じます。

銀行やノンバンクのビジネスローン

日本政策金融公庫も信用保証組合も公的機関ですが、無担保で民間企業から借り入れると考えた場合に利用できるのがビジネスローンなどのローン商品です。

ちなみにビジネスローンと商工ローンの違いが分かりにくいという問題がありますが、特に明確な差はないといわれています。ただ、便宜上の分け方としては、「無担保・無保証」がビジネスローン、「担保もしくは保証人が必要」なのが商工ローンとされているケースがい多いため、ここではビジネスローンを紹介します。

ビジネスローンを提供しているのは、銀行などの金融機関や、リース会社や消費者金融といったノンバンク系の企業です。

ビジネスローンの特徴は、金利がやや高く、借り入れ上限金額が低めであるものの、比較的審査には通りやすく、現金化スピードが早い点です。

上で紹介した日本政策金融公庫や、信用保証組合を利用した無担保融資は、金利も安く魅力的ですが、一定程度の時間はかかります。短いものでも1ヶ月程度は必要になるため、現金化スピードという点ではあまりおすすめというほどではありません。

ビジネスローンはどの金融機関を利用するかにもよりますが、最短即日対応のケースもありますので、急ぎ現金が必要な場合に利用しやすいという特徴があります。

ただし、大きな借り入れを求めるのは難しく、根本的な経営再建や資金繰りの見直しには向かず、また金利が高いので返済が厳しくなるという特徴もあります。

無担保融資を利用する際の注意点

上記のように、無担保融資にはいろいろな方法があります。もちろん利用するにはある程度条件をクリアする必要はありますが、それでも無担保というのは魅力的かと思います。

そんな無担保融資を申し込む際の注意点をいくつか紹介していきましょう。

融資までに時間がかかる方法もある

上でも少し触れましたが、無担保融資として魅力的な日本政策金融公庫や、信用情報組合を利用した融資はある程度時間がかかる融資方法です。もちろん審査などの時間が必要という面もありますが、同じくらい重要になるのが申し込みに必要な書類の作成です。

事業計画書など、必要書類をしっかりと作成しないと、せっかくの無担保融資も断られてしまう可能性があります。無担保融資を受けるためには、融資申し込み準備にもある程度時間が必要ですので、審査に通り借り入れが叶うとしても1~2ヶ月程度の時間が必要になるでしょう。

時間の確保というのが無担保融資では重要になります。

返済計画をきちんと立てる

時間がかからず、しかも無担保で融資が受けられるとすればビジネスローンです。ただし、ビジネスローンは金利が高く、借り入れ上限金額が低いというデメリットもあります。

金利が高いため、なにより重要になるのが返済計画です。闇雲に借りてしまえば、後々返済が滞り、さらに経営状態を圧迫しかねません。借り入れたビジネスローンで財務状況の根本的な改善ができればいいのですが、借り入れ上限が低めであることを考えると、そこまでを望むのは難しいというケースもあるでしょう。

ビジネスローンを利用する場合は、現状の経営状態や、将来的なビジョンなどを自分自身で冷静に見極め、しっかりとした返済計画を持って借り入れる必要があります。

まとめ

無担保で利用できる資金融資の方法はいくつか考えられます。担保を持っていない、保証人の宛てもないという企業の場合は、こうした無担保融資の利用が重要になります。

おすすめの無担保融資はやはり日本政策金融公庫の利用でしょう。そもそも小規模事業者や中小企業の経営を助けるための政府系金融機関ですから、最大限利用すべきです。

急ぎの場合は民間金融機関のビジネスローンを検討しましょう、ビジネスローンの場合、金利や借入金額、さらに返済計画が重要になります。

いずれにせよ、融資は上手に使い分け、自社の経営改善を行いながらしっかりと返済していくのが重要になります。

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