補助金2024年最新版【運送業】

条件を満たせば申し込むことができ、審査に通れば交付される補助金。補助金は返済不要の資金のため、利用できる補助金はぜひ利用するのがおすすめとなります。

そこでこの記事では国が交付予定の2024年度の補助金を紹介。同時に運送業者が利用できるのかどうかという点に関しても解説していきます。

2024年問題や賃上げなど、人手不足や資金不足に悩む運送業者は多いかと思います。利用可能な補助金があれば、積極的に利用していきましょう。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染拡大のため、事業を継続していくのが難しくなった事業者向けに創設された補助金です。主な目的は、ポストコロナ時代に向けた新規事業のスタートや、事業再構築の支援を行うための補助金となっています。

制度の概要

事業再構築補助金は、これまで10回交付されており、2024年4月現在、第11回の募集が行われています。新型コロナウイルスの影響も薄くなってきたため、次回第12回の募集が最後となる見方が大半です。

制度は原則として、これまでの事業とは全く違う事業を起こすための資金交付となっていますので、申し込む際は、新規事業事業転換が条件となります。

補助額と補助率

補助金の交付額に関しては、枠や従業員数によりさまざまですが、1,000~7,000万円が基本です。一部サプライチェーンの再構築など大規模事業の場合、最大5億円という枠もあります。

補助率は1/3~3/4。詳細は公式のHPなどを参考にしてください。

運送業との相性 △

運送業として事業を続けていくことを前提に考えると、交付条件を満たすのは難しく、運送業向きの補助金とは言い難い部分があります。

ただし、これまでまったく別業種だった事業者が、新たに運送業も始めようという場合、もしくは、運送業を行う事業者が、運送とは全く関係ない事業、例えば印刷業や飲食業といった事業展開を考えている場合などには利用可能な補助金ということになります。

ものづくり補助金

主に中小企業を対象に、持続的な賃上げを実現するための新製品開発、生産ラインの省力化をする際に利用できる補助金です。

ものづくり補助金という名称からも分かる通り、どちらかというと製造業を中心に考えられた補助金といえるでしょう。

制度の概要

想定されている枠としては、生産ラインの自動化などを実現する「オーダーメイド枠」、製品やサービスに付加価値をつけるための「付加価値枠」、海外事業を強化する「グローバル枠」があります。

補助対象経費の多くは「機械装置」や「システム構築費」となっているのも特徴といえるでしょう。

補助額と補助率

補助額は枠や従業員数で決められており、750~2,500万円。グローバル枠のみ上限3,000万円と高額になっています。補助率は1/2~2/3。設備投資や新たなシステム構築で生産ラインの効率化などを目指すための補助金と言えます。

運送業との相性 ×

原則として製造業への支援をイメージしている補助金のため、運送業に関しては利用が難しい補助金といえるでしょう。もちろん運送業以外になにかしらの製造業やサービス業を行っている場合を除きますが、純粋に運送業を営んでいる事業者にとっては、利用が難しい補助金と言えます。

IT導入補助金

業務内容のIT化や、2023年10月に導入されたインボイス制度への対応などに活用できるのがIT導入補助金です。日本国内では業種を問わずITの導入が進んでおり、これからさらにITの導入を進めたいと考えている企業にはありがたい補助金となります。

制度の概要

IT導入補助金は、自由にITサービスを選び、そのサービスを導入するというわけではありません。事前に国に登録している供給業者の中からITサービスを選択し、そのサービスを導入する場合に交付される補助金となります。

対象となるのはソフトウェアの導入やシステムの構築、クラウドサービスの導入などが中心です。過去には交付対象だったECサイトの構築は、現在交付対象とはなっていないので、この点は注意が必要でしょう。

補助額と補助率

IT導入補助金にもいくつかの枠があり、枠によって交付上限金額も変わってきます。通常枠で5~450万円、インボイス対応枠で50~350万円、複数社連携の枠で上限3,000万円、ITセキュリティ導入枠で5~100万円などとなっています。

補助率は1/2~4/5。特にインボイス枠は補助率が高い傾向にあります。

運送業との相性 〇

運送業の世界にもIT化の波は押し寄せています。インボイス対応はもちろん、運行管理などにもITシステムが必要になっており、こうしたIT技術の導入を考えている事業者には非常にありがたい補助金と言えるでしょう。

小規模事業者補助金

地域の雇用や産業を守っている小規模事業者を対象とした補助金です。補助金の対象となるのは、商業サービス業で従業員数5名以下、それ以外の業種では従業員数20名以下の小規模事業者が対象となっています。

制度の概要

補助金の対象となる経費は広告宣伝費が中心となります。ただし、この中でHP作成やWeb広告といった経費に関しては上限金額が設定されているため、多くの場合折込チラシの経費や、看板設置の経費が中心となっています。

補助額と補助率

小規模事業者補助金には通常枠と特別枠があります。通常枠の上限金額が50万円、特別枠が上限200万円に設定されており、補助率は原則2/3に設定されています。

ただし赤字経営の事業者や、インボイス特例を受ける事業者の場合、上限金額や補助率がやや変わってきますので、詳しくはHP等で確認してください。

運送業との相性 〇

あくまでも小規模事業者の運送業者に限定されますが、利用する価値は十分あるかと思います。特に個人顧客にも対応している運送業者の場合、折込チラシ等の効果は低くないと言えるでしょう。また看板を設置するのも効果は十分見込めます。

広告宣伝費で悩んでいる小規模運送業者にはおすすめの補助金となります。

事業継承補助金

主に中小企業の賃上げを後押しし、生産性向上のために、事業継承やM&Aを検討している事業者の方も少なくないかと思います。こうした事業継承などに必要な経費を補助してくれるのが事業継承補助金です。

制度の概要

事業継承補助金には3つの枠があり、事業継承やM&A後の新事業スタートや販路開拓などに使用できる「経営革新枠」、事業継承などを専門家に相談した際に発生する謝金などが対象となる「専門家活用枠」、そしてM&Aなどで廃業をする事業者向けの「廃業・再チャレンジ枠」です。

ほかの補助金ではあまり対象とならない謝金や廃業費用も対象になるなど、比較的使いやすい補助金と言えます。事業継承やM&Aを考えている、もしくは近年実行済みの企業も申し込めますので、対象となる運送業の方は活用を検討してみてはいかがでしょう。

補助額と補助率

補助金は経営革新枠で600~800万円、専門家活用枠で上限600万円、廃業・再チャレンジ枠で150万円に設定されています。補助率は1/2~2/3。それぞれ条件がありますので、詳細は確認が必要です。

運送業との相性 〇

運送業でも事業継承やM&Aが問題となっているケースは多いでしょう。こうした運送業の方はぜひ活用したい補助金です。ただし、経営革新枠は、新規事業立ち上げが基本となりますので、活用するとなれば、専門家活用枠が中心になるかと思います。

また、廃業を考えている方は、廃業費用も交付の対象になっていますので、検討してみてもいいかもしれません。

中小企業省力化投資補助事業

人手不足に悩んでいる中小企業も多いかと思います。こうした企業が、人手不足解消のために省力化投資を行う際に利用できるのがこの補助金です。イメージとしてはIT導入補助金に近く、対象となるのがIT製品やサービスではなく、生産性向上のための設備やロボットなどとなる補助金です。

制度の概要

IT導入補助金と近いシステムであり、国が作成したカタログに掲載されている製品を購入する際に利用できる補助金となっています。カタログには多数の製品が掲載されており、仕分けロボットや、配膳ロボットなども対象となっています。

補助額と補助率

補助金額は、従業員数ごとに設定されており、従業員数5名以下で上限200万円、20名以下で上限500万円、21名以上で上限1,000万円となっています。また申し込んだ企業が賃上げ要件をクリアしている場合、それぞれ上限金がプラスされます。補助率は一律1/2です。

運送業との相性 △

国が作成したカタログを隅々までチェックする必要はありますが、運送業が利用できる設備がどの程度あるかは不明です。イメージとしてはそこまで多くないように感じるため、運送業に合っている補助金とは言い難い部分があります。

人手不足解消のための補助金といっても、運送業界で問題になっている2024年問題には対応できる補助金ではないでしょう。

補助金だけでは足りない場合は?

御覧の通り多くの補助金がありますが、補助金には補助率が設定されています。例えば補助対象経費が300万円で補助率が1/2であれば、補助金は最大150万円までしか交付されません。それ以外の部分は自社で負担することになります。

こうした自社負担分が厳しい場合、何らかの形で資金を確保する必要があります。資金確保となると金融機関からの融資が思いつきますが、融資審査は厳しく時間がかかります。また、審査に必要な書類も多く、補助金と同時進行で申請をするのは大変です。

そんな時におすすめの方法がファクタリングです。ファクタリングは売掛金を早期現金化する資金調達法であり、借り入れをするわけではないので安心です。審査も早く、いざという時の現金確保にはおすすめの資金調達法となります。

まとめ

2024年度交付予定の補助金に関して紹介してきました、運送業におすすめの補助金としては、IT導入補助金や事業継承補助金などが中心になるかと思います。また、補助金はこの記事で紹介した国が交付するもの以外に、各自治体が交付する補助金もあります。

補助金や助成金は、返済不要の資金です。自社の状況をしっかり把握し、利用できる補助金があれば、積極的に利用していくのがおすすめとなります。

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