ファクタリングは金融機関からの融資やビジネスローンよりも、審査通過率が高いのが一般的です。実際にファクタリング会社の公式HPには「買取率95%」など、極めて高い数字が記載されています。
ただし確実に審査に通るという保証はなく、ファクタリングで審査NGとなることは十分に考えられます。審査NGとなってしまう理由は様々ですが、1つ1つのポイントを押さえていければ、スムーズに売掛債権を買取してもらえるでしょう。
当記事ではファクタリングで審査NGになる理由や審査基準について解説していきます。
ファクタリングで審査NGになる5つの理由
ファクタリングを申し込んで審査がNGとなってしまう理由は以下の通りです。
- 売掛債権の信用度が低い
- 売掛債権の額面金額に問題がある
- 売掛債権の存在を証明できない
- 売掛債権の支払いまでの期日が長い
- 審査時の対応が不誠実
それぞれ解説していきます。
売掛債権の信用度が低い
売掛債権の信用度が低い場合、ファクタリング会社が売掛金を回収できなくなる恐れがあるため、審査NGとなる可能性が考えられます。
財務状況が悪化しているような会社の売掛債権は、極力審査に出すべきではありません。また現在は経営に問題が無い会社でも、過去に金融事故や税金滞納の履歴があると、審査NGとなる可能性が高まります。
個人事業主による売掛債権も信用度が低いとみなされます。売掛先が法人であれば登記簿や信用情報機関を用いて判断材料を集められますが、個人事業主では調査が難しく実態が掴めないためです。
上場企業や公的機関が売掛先の場合は、信用度が高い債権とみなされる傾向にあります。
信用度が高い債権は、審査に通りやすくなるだけではなく手数料も低くなるため、ファクタリングの優先度を高めて検討してみましょう。
売掛債権の額面金額が適切ではない
ファクタリング会社は公式HP等で、売掛債権の額面金額の買取下限額を提示しているケースがあります。その提示額を下回っているような売掛債権の買取を依頼した場合、審査NGとなってしまうことが考えられます。
例えば売掛債権の下限買取額が200万円に対して、80万円の売掛債権を申し込めば、会社の方針を理由に断られてしまうでしょう。
また売上規模と利用金額のバランスも審査項目として重要視されます。売上規模と利用金額の間であまりにも乖離が大きすぎるのは好ましくありません。
例えば、年間の売上に対して10倍近い金額のファクタリングを申請した場合「本来の企業の活動資金以外の目的があるのではないか?」と疑念を持たれかねません。売掛債権の額面金額が適切かどうか、審査に出す前に改めて確認しておきましょう。
売掛債権の存在を証明できない
売掛債権の存在を証明できないと「架空債権」と見なされてしまい、審査NGとなる可能性があります。そもそも売掛債権自体は目に見えるものではないため、偽の請求書や、粉飾した決算書など、詐欺の疑いも否定出来ないのです。
複数の書類から立体的に判断材料を揃えて、売掛債権の存在を証明できれば、問題なく審査に通ることができます。具体的には書類を揃えるようにしましょう。
- 売掛先との基本契約書
- 個別契約書
- 請求書、見積書、受注書、納品書
- 身分証明書
- 2~3期分の決算書
- 取引履歴を確認できる銀行口座の通帳
不正を働くつもりが無くとも、提出した書類の中に不備があった場合、審査に断られる可能性も十分考えられます。書類の内容が正確かどうか事前にチェックしておきましょう。
売掛債権の支払いまでの期日が長い
支払期日までが長い売掛債権の場合、期日までに売掛先が倒産するというリスクを抱えることになるので、審査を断られるケースも発生してしまいます。
目安としては、期日まで長くても2ヶ月を目処にしましょう。ちなみに取引先から売掛債権を回収したにもかかわらず支払いをしなければ、「回収委託契約違反」となり違法行為となります。
審査時の対応が不誠実
ファクタリングの審査においては、面談を通して利用者の人柄やモラルを確認されることもあります。ファクタリング会社と利用者との間に信頼関係が成り立たなければ契約には至らないため、横柄で不誠実な態度を取ることは避けなければなりません。
質問に対しては嘘偽り無く正確に回答し、清潔感のある服装を心がけるなど、最低限のマナーを心得ておくだけでも十分です。
そして利用者が個人事業主の場合、取引先も個人事業主や中小零細企業であることが多く、廃業や財務状況の悪化というリスクは否めません。そのような売掛債権の買取が成立するか微妙なケースのときに、審査時の対応次第で契約の可否が左右されることも十分考えられます。
また2社間ファクタリングの場合は、利用者が売掛金を回収する流れになります。そのため、回収後の資金を他の目的に流用されるリスクを懸念されやすい点に留意しておきましょう。
ファクタリングで重視される3つの審査基準
ファクタリングで重視される審査基準は以下の通りです。
- 売掛先の信用度
- 売掛債権への信用度
- ファクタリング利用者の信用度
それぞれ解説していきます。
売掛先の信用度
ファクタリング審査において最も重要なポイントは、売掛先の信用度です。
売掛先の信用度が低い場合、売掛金の期日が到来しても、回収できないリスクが生じてしまいます。
ファクタリング会社は売掛金を回収できないと負債を抱え込むことになるので、売掛先の企業の信用度は重要な指標です。
売掛先の信用度が高ければ手数料は低くなり、信用度が低ければ手数料が高くなる傾向にあります。また審査に通らないことも十分考えられます。
売掛債権への信用度
売掛先の信用度だけではなく、売掛債権の信用度も、ファクタリング審査において重視されます。
財務状況に懸念があったり、業績不振に陥っていたりする企業の売掛債権は、いわゆる不良債権を掴まされるリスクが発生するため、ファクタリング会社も慎重な態度となります。
ファクタリング利用者の信用度
ファクタリング利用会社の信用度は、売掛先や売掛債権ほどは重視されません。しかし信用度を測るための調査自体は、ファクタリング会社によって行われます。
例えば、架空の売掛債権をでっち上げて、不正に資金を確保しようとする可能性も否定はできません。知らず知らずのうちに犯罪行為に加担しているというリスクを避けるためにも、利用者側の信用度も問われるのです。
しかしカードローンやビジネスローンといったローンや融資よりも、ファクタリングは利用しやすい金融サービスなので、銀行の審査ほど厳しくはありません。
審査NGを避けるためのファクタリング会社選びのコツ
ファクタリング会社を上手く選定することが出来れば、審査NGとはならずに売掛債権を買い取ってもらえます。具体的なコツは以下の通りです。
- 独立系の会社に審査を申し込む
- 手数料が極端に安い・高い会社は避ける
- 複数社に審査を申し込んで相見積もりを取る
それぞれ解説していきます。
独立系の会社に審査を申し込む
「独立系」とは、大手金融機関が運営するような「銀行系」にも、消費者金融のような貸金業者による「ノンバンク系」にも属さないファクタリング会社を指します。
「独立系」のファクタリング会社は、ファクタリングに特化しているため、会社ごとに独自のオプションが充実しています。オンライン完結で来店不要で即日現金化も可能です。債権の譲渡契約に該当することから、貸金業への登録へも不要なため、問題なく合法的に利用ができます。
特に「銀行系」のファクタリング会社は、個人事業主や中小零細企業を利用者として想定していない方針もあり、審査に通らない可能性が高いといわれています。また審査のスピードに時間がかかるため、迅速さという観点においてはデメリットです。
中小企業がどのように資金繰りに苦しんでいるのか、今後どのような方針でファクタリングを通して財務状況を改善していけるのかを肌感覚で熟知しているのも、「独立系」の強みといえます。
手数料が極端に安い・高い会社は避ける
ファクタリングの利用時における手数料が極端に安い・高い会社は避けるべきです。
具体的には、手数料が30%以上取られる場合は、明らかに高すぎるといえます。一方で0%に近いような極端に安い手数料だと、諸経費という名目で別途請求されることで、結果的に費用が高くつくことも考えられます。
目を惹くような手数料の安さのファクタリング会社を見かけたら、まずは疑ってみる姿勢を持つことも大切です。
複数のファクタリング会社から相見積もりを取る
ファクタリングの審査NGを避けるコツとして、複数のファクタリング会社から相見積もりを取るという方法もあります。
まず保有している売掛債権がどの程度の金額で買い取ってもらえるのかという相場が判明するので、明らかに不利な条件で買取されることを防ぐことができます。金額や手数料などの内訳も確認すれば、会社ごとの明瞭さも判断できるでしょう。
また複数社から相見積もりを取っているという事実を伝えることで、手数料が引き下げられたり、審査に通りやすくなったりするというメリットも十分挙げられます。相見積もりの際に必要となる書類は基本的に同じとなるので、複数枚をコピーするといった対応のみで十分です。
まとめ
ファクタリングの審査において重要視されるのは、売掛先の信用度です。
こちらに問題があれば、審査に通らなくなってしまう確率が高まってしまいます。
ファクタリングに申し込む前に、審査NGに該当しそうな点が無いか事前に確認しておきましょう。
また複数のファクタリング会社から相見積もりを取るなど、相場を把握しておくことも大切です。
手数料を抑えやすくなるだけでなく、審査が通る会社を一通り確保できるという安心感も大きいといえるでしょう。