信用保証協会の申し込み方法と審査で重視される3つのポイント

信用保証協会の申し込み方法と審査で重視される3つのポイント

中小企業の経営者や個人事業主にとって、資金繰りは頭の痛い問題です。

 

銀行が常に融資をしてくれるとも限らないうえ、いつも売り上げが安定しているわけではありません。

 

そんな中で、信用保証協会は経営者の方の事業資金、運転資金の調達先として、最もお勧めの方法のひとつです。

 

信用保証協会を利用すれば、創業に必要な資金から運転資金、設備投資まで、必要な資金がスムーズに調達できます。

 

この記事では、信用保証協会に関する基礎知識や、申し込み方法、審査の際のポイントについてご紹介していきますので、資金調達を検討されている方は、ぜひ参考になさってください。

 

 

信用保証協会とは?

 

信用保証協会とは、信用保証協会法に基づいて、中小企業・小規模事業主の金融円滑化のために設立された公的機関です。

 

中小企業や小規模事業主が、金融機関から貸付を受ける際に、その借入債務を保証することによって、資金調達の円滑化を図っており、事業の健全な発展を促進することを目的としています。

 

これからの発展に可能性がある中小企業に対して、「公的な保証人」となることで融資の道を開拓してあげるという機関となっており、中小企業が損ないがちな信用力を補填することでその企業を発展させるというのが信用保証協会の存在意義とも言えます。

 

信用保証協会は中小企業や小規模事業主に融資を行っていますが、日本で存在している企業のうち、「中小企業と小規模事業主」に該当する割合は全体の約99%となっています。

 

実際にそんな中で信用保証制度を利用している企業は約150万もの企業となっており、かなり多くの企業が利用していることが分かります。

 

保証付き融資を選択すると保証人が必要となりますが、その保証人も法人の場合は代表者のみが連帯保証人となり、個人事業主の場合は代表者自信が借入人になることから、他の連帯保証人を準備する必要はありません。

 

保証付き投資に関しては、企業が返済できなくなると信用保証協会が企業の代わりに銀行に全額返済してくれることとなります。

 

これを代位返済と言いますが、代位返済を行ったあとに、保証協会が債権者となり企業と連帯保証人から回収する形となります。

 

また、信用保証協会から借入を行うと基本的に返済期間を長く設定することができます。

信用保証協会の保証があれば長期間の借り入れも可能となり、これによって計画的な利用も可能となります。

 

 

 

信用保証協会の申し込み方法

 

信用保証協会の保証付き融資の申し込み方法には、主に以下の2パターンがあります。

 

・信用保証協会に直接申し込み

・金融機関経由で信用保証協会に申し込み

 

どちらを選んでもよいですが、どちらかというと金融機関経由で信用保証協会に申し込みをするケースが多い傾向にあります。

 

信用保証協会は全国にあり、それぞれ管轄が決まっています。信用保証協会に直接申し込む場合は、事業を営んでいる地域を管轄する信用保証協会に出向く必要があります。

 

なお、直接申込みを受け付けていない協会もあるので、この点は注意が必要です。

 

商工会や商工会議所などでも申し込み可能ですが、ここでは代表的な上記2パターンの審査の具体的な流れと、必要書類について紹介します。

 

 

信用保証協会に直接申し込み

 

信用保証協会に直接申し込む場合は、以下の流れで審査が進みます。

  1. 管轄の信用保証協会の窓口に出向く
  2. 担当者と面談し、申込書を受け取る
  3. 申込書に必要事項を記入し、必要書類を添付して提出する
  4. 信用保証協会によって審査が行われる
  5. 審査通過後、信用保証協会から金融機関の融資斡旋を受ける
  6. 金融機関によって融資審査が行われる

 

そして金融機関の審査も通過できたら、融資が実行されます。

 

信用保証協会が保証を承諾したことを示す「信用保証書」については、金融機関の審査通過後に発行されます。

 

信用保証協会の保証付き融資の審査で注目したい点は、信用保証協会と金融機関それぞれで審査が行われることです。

 

信用保証協会の審査では申込者が信用保証をするにふさわしいか、金融機関では融資しても問題ないかが審査されます。

 

信用保証協会と金融機関、どちらか一方の通過のみでは融資は実行されません。この点には充分に注意をしておきましょう。

 

 

金融機関経由で信用保証協会に申し込み

 

金融機関経由で信用保証協会に申し込む場合は、以下の流れで審査が進みます。

  1. 金融機関の窓口に出向く
  2. 金融機関の融資の申し込み手続きと同時に、信用保証の申し込み手続きを行う
  3. 金融機関によって融資審査が行われる
  4. 融資審査通過後、金融機関が信用保証の申込書を信用保証協会に提出する
  5. 信用保証協会によって審査が行われる
  6. 審査通過後、信用保証協会が金融機関に「信用保証書」を送付する

 

そして信用保証協会が信用保証を承諾したことが金融機関に伝わったら、融資が実行されます。

 

この申込方法の場合、信用保証協会への連絡は金融機関が一括して行ってくれます

申込者が信用保証協会に直接連絡を取る必要は全くありません。

 

 

審査の必要書類

 

信用保証協会の保証付き融資に申し込む際には、以下のような書類を提出する必要があります。

  • 信用保証委託申込書(保証人等明細)
  • 申込人(企業)概要
  • 信用保証依頼書
  • 信用保証委託契約書
  • 個人情報の取扱いに関する同意書
  • 確定申告書(決算書)
  • 商業登記簿謄本
  • 印鑑証明書

 

確定申告書(決算書)については、直近3期分の写しが求められます。原則的に税務署受付印があるものが必要となります。

 

またさらに法人の場合には、「別表」と「勘定科目明細」の添付も求められることになるので事前に準備が必要です。

 

上記以外に試算表や事業計画書などの書類が必要になることもあります。

準備に時間がかかる書類もあるので、あらかじめ金融機関や信用保証協会に確認しておきましょう

 

 

 

信用保証協会の審査で重視される3つのポイント

 

金融機関で申し込む場合も、はじめての保証付融資の場合は信用保証協会による面談を受ける必要があります。

ここでは、信用保証協会が「審査で何を重視するのか」について紹介いたします。

 

信用保証協会の審査では、以下のポイントが重視されます。

 

☑ 返済能力があるか(業績に問題はないか)
☑ 資金の使い道は適切か
☑ 経営者の人柄・信用度

 

事業の将来性や技術力なども調査されますが、特に上記のポイントが重視されます。

「返済計画」や「資金の目的」「信頼性」などの点に重きが置かれていると考えていいでしょう。

 

 

返済能力があるか(業績に問題はないか)

 

信用保証協会の保証付き融資を利用した事業者が滞納を起こしたり、返済不能状態になったりすると、借入金の80%を信用保証協会が立替払いすることとなります。

 

その上で、信用保証協会が事業者に立替金の返済を求めるのですが、事業者が債務整理を行った場合は立替金が回収できなくなる恐れもあります。

 

しかし、信用保証協会は公的機関であり、原資は税金なので、その使い道について責任があります。

 

回収不能のリスクを避けるため、融資の希望額と収益のバランスや今後の事業計画などから、無理なく返済を続けていけるかをチェックします。

 

融資を受ける際には、必要な額を適正な計画を持って問題なく返済していくことができるのかという点を精査することが大切です。

 

また、代位弁済やその後の立替金の回収不能リスクを避けるため、直近3期の決算書(確定申告書)から、会社の業績もチェックされます。

 

3期連続増収・増益であれば、審査も有利に働きます。

 

もし赤字になっている場合でも、以下の点についてしっかり説明できれば、審査に通過できる可能性があります。

  • 赤字の原因
  • 今後の対応策
  • 融資を受けることによる効果
  • 返済計画

 

今は赤字でも、融資によって業績が改善し、きちんと返済していけるとアピールすることが重要です。

 

特に「返済計画」と「融資を受けることによる効果」は今後の業績を伸ばしていく上で非常に大切な要素といえるので、少しでも審査通過のメリットを高めるためにも、この点はしっかり説明できるようにしておきましょう。

 

 

資金の使い道は適切か

 

公的機関である信用保証協会が、何に使うのか、事業の発展に効果があるのかも分からない融資に保証を付けることはできません。

 

そのため、信用保証協会の審査では、資金の使い道や必要性、融資を受けることによって得られる効果などもチェックされます。

 

「借りられるだけ借りたい」「とりあえず借りたい」は通用しません。

何のためにいくら必要なのか、それによって事業がどうなるのかを明確にしておきましょう。

 

事業計画書や具体的な資金用途を資料をもって論理的に説明できるような体制を整えておくことが大切です。

 

 

経営者の人柄・信用度

 

信用保証協会の審査では、経営者の経営力、意欲、信頼性なども重視されます。

 

提出する書類の内容がいい加減だったり、面談で適切な受け答えができないと審査は通りません。

 

面談の際には、誠実に受け答えをすることが何よりも大切です。今後の展望などを論理的に話せるように備えをしておきましょう。

 

また、前述のとおり、信用保証協会を初めて利用するときには、経営者個人の信用情報もチェックされることがあります。

 

信用情報に複数回の滞納や金融事故の履歴があると、信用度が下がるので注意が必要です。

 

特に金融事故の情報は5年~10年は各信用情報機関に残ります。過去に事故の心当たりがある際にはこの点にも留意しましょう。

 

 

 

まとめ

 

いかがだったでしょうか。

信用保証協会に関する基礎知識や、審査の際のポイントについて解説させていただきました。

 

この記事を読んで、信用保証協会についての理解が少しでも深まっていただければ幸いです。

 

ただし、信用保証協会の融資も審査があり、借り入れが失敗してしまうこともありますので、それでは資金調達が間に合わないという方には、ファクタリングを併用されることをおすすめします。

 

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