資金調達の手段としてファクタリングを検討している経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ファクタリングはスピーディーに資金調達ができるのが魅力なものの、審査に通らなければ売掛債権を現金化することはできません。
当記事ではファクタリングの審査に通るコツに加えて、ファクタリング会社を選ぶときのポイントや、審査を申し込むときの注意点について解説していきます。
ファクタリングの審査に通るための5つのコツ
ファクタリングの審査に通るためには、抑えておきたいコツがあります。
- ファクタリング会社に好まれやすい売掛債権を選ぶ
- 3社間ファクタリングを選ぶ
- 支払い日が近い売掛債権を審査に出す
- 売掛債権の存在を証明できる書類を用意する
- 審査時には誠実な人柄やモラルをアピールする
それぞれ解説していきます。
ファクタリング会社に好まれやすい売掛債権を選ぶ
ファクタリング審査では、利用者よりも売掛先の信用を重視する傾向にあります。
売掛先との取引実績が長く、売掛債権の金額も大きいほうが、ファクタリング会社にとって好ましい条件です。また上場企業や公的機関が売掛先の場合は、財務状態が安定していると判断され、審査に通りやすくなります。
信用度が高い債権は手数料が低くなるというメリットもあります。ファクタリングによる資金調達を成功させたいなら、ファクタリング会社が買い取りたいと思える売掛債権を提示するようにしましょう。
3社間ファクタリングを選ぶ
3社間ファクタリングは、売掛債権を現金化したい利用者と売掛債権を買取るファクタリング業者に加えて、売掛先も加えての3社間で取引が成立します。
売掛先に債権譲渡の事実が通知されますが、売掛先からファクタリング会社に直接支払われるため、未回収リスクが軽減されます。そのため、2社間ファクタリングよりも審査に通過しやすいです。
2社間ファクタリングには売掛先にファクタリングの利用を知られずに済むというメリットはあるものの、審査の通過率という観点からは3社間ファクタリングのほうが有利でしょう。
支払い日が近い売掛債権を審査に出す
売掛債権の支払い期日が短ければ短いほど、審査に通りやすくなります。支払い期日が短いことで、ファクタリング会社は回収見込みがより高いと判断するからです。
支払期日までが長い売掛債権の場合、期日までに売掛先が倒産するというリスクを抱えることになるので、審査を断られるケースも発生してしまいます。
目安としては、期日まで長くても2ヶ月を目処にしましょう。ちなみに取引先から売掛債権を回収したにもかかわらず支払いをしなければ、「回収委託契約違反」となり違法行為となります。
売掛債権の存在を証明できる書類を用意する
売掛債権の存在を証明することで、架空債権ではないことを示す必要があります。
ファクタリングを申し込むときには、以下の書類を揃えておきましょう。
- 売掛先との基本契約書
- 個別契約書
- 請求書、見積書、受注書、納品書
- 身分証明書
- 2~3期分の決算書
- 取引履歴を確認できる銀行口座の通帳
提出した書類の中に不備があった場合、審査に断られる可能性も考えられます。書類の内容が正確かどうかも事前にチェックしておきましょう。
審査時には誠実な人柄やモラルをアピールする
ファクタリングの審査においては、面談を通して利用者の人柄やモラルを確認されることもあります。
態度が横柄で、受け答えが支離滅裂になってしまうと、審査を行う担当者の心象を損ねてしまうかもしれません。
特に2社間ファクタリングの場合は、利用者が売掛金を回収する流れになります。そのため、回収後の資金を他の目的に流用されるリスクを懸念されやすい点に留意しておきましょう。
ファクタリング会社を選ぶときの4つのポイント
ファクタリング会社を選ぶ時に重視したいポイントは以下の通りです。
- 運営会社
- 契約方法
- 対応スピード
- 償還請求権の有無
それぞれ解説していきます。
運営会社
まずは運営会社がきちんと信頼できるかどうかを確認してみましょう。
優良なファクタリング会社であれば、以下のような情報が公式HPにて公開されているはずです。
- 社名
- 住所
- 代表者名
- 資本金
- 会社の沿革など
またファクタリング会社は、各々のルーツが異なります。銀行系子会社、ノンバンク系子会社、独立系などが存在するため、ファクタリング会社ごとの強みや特徴まで把握できると望ましいです。
更に念押しして調べたいなら、法人の登記簿や帝国データバンクの情報にあたることで、より確実に信用を置くことができるでしょう。
契約方法
ファクタリングの契約方法には、以下のようなものが挙げられます。
- 対面(来店・出張買取)
- 電話
- 郵送
- オンライン
ファクタリング会社によって契約方法は異なりますが、近年では来店不要で手続きが可能なオンライン契約が人気です。
ファクタリングの申込みに敷居の高さを感じているなら、オンライン対応の会社を優先して探してみるのがおすすめです。
対応スピード
ファクタリングは、スピード感をもって資金調達ができるのが魅力です。
そのためファクタリング会社の対応スピードも重視したい点となります。2社間ファクタリングなら、最短即日で入金可能な会社も存在します。
また土日祝や夜間対応など、受付時間を幅広く設定している会社もあります。緊急度などを考慮しながら、必要に応じて利用を検討してみましょう。
償還請求権の有無
「償還請求権」とは、売掛債権が回収できなくなった際に、ファクタリング会社と利用者のどちらが損失を被るのかを決定するものです。
日本国内におけるファクタリングでは償還請求権が無い「ノンリユース契約」が一般的です。つまり売掛債権が回収不能になっても、利用者に弁済義務は発生しません。
償還請求権があるファクタリングは、利用者にとって不利な契約です。償還請求権を悪用して法外な金利を請求するヤミ金業者もいることから、ノンリユース契約でファクタリングできる会社を探すようにしましょう。
ファクタリングの審査を申し込むときの5つの注意点
ファクタリングの審査を申し込むときには、把握しておかねばならない注意点が存在します。
- 売掛金は一括で支払わなければならない
- 契約書の控えは必ず受け取る
- 設備投資や設備資金としても利用可能
- クレジットカード債権もファクタリングが可能
- 個人の場合は「給料ファクタリング」に注意する
それぞれ解説していきます。
売掛金は一括で支払わなければならない
2社間ファクタリングにて振り込まれた売掛金をファクタリング会社に支払う場合、一括払いで支払わなければなりません。
分割による支払いは「金銭の貸し付け」に該当するため、貸金業の登録申請を行っている会社でなければ扱うことができません。また分割払いによって生じる利息を受け取ることも禁じられています。
貸金業の登録が無いにもかかわらず、分割返済を受け入れているファクタリング会社は、違法行為を行っているヤミ金融業者に該当します。原則として、売掛金は一括で支払うものだという認識しておきましょう。
契約書の控えは必ず受け取る
ファクタリング会社との取引を行うと、必ず契約書が作成されます。手数料・支払い期日・登記の有無など、支払い条件は必ず確認を取るようにしましょう。
万が一トラブルが生じたときに控えが手元に無いと、どちらに過失があるのかを判断することができません。契約書の控えは失くさないように所定の場所に保管しておきましょう。
設備投資や設備資金としても利用可能
ファクタリングは銀行融資とは異なり、資金の使途に制限はありません。そのため設備投資を目的として、新規事業や設備資金のために調達することができます。
計画上では設備投資による利益の増大が見込めるものの、手持ちのキャッシュが不足しているという状況であれば、ファクタリングを通して設備資金の調達を検討してみてください。
クレジットカード債権もファクタリングが可能
クレジットカード債権もファクタリングが可能です。クレジットカード債権を多く抱えるようなECや飲食業では、資金調達の有効な手段となります。
クレカでは決済から売上が入金されるまでに1ヶ月以上かかることが多くなり、売上をすぐに運転資金として利用できないのがネックです。
しかしファクタリングを利用すれば、すぐに売掛債権を現金化できます。クレジットカード債権は信用度が高いので、審査にも通りやすく手数料が抑えられる可能性が高いです。
クレカ決済が多い業界では、資金調達としてファクタリングは有効な選択肢となります。
個人の場合は「給料ファクタリング」に注意する
給料ファクタリングとは、給料を対象として個人向けのファクタリングです。つまり給料を債権として扱い、給料日前に現金化するという流れになります。
労働基準法第24条においては「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。
給料ファクタリングは、企業がファクタリング会社に賃金分の通貨を支払っていることになります。そのため労働基準法と照合しても違法と解釈できるため、利用しないことが望ましいといえるでしょう。
まとめ
ファクタリングの審査基準は会社ごとに異なりますが、審査に通るためのコツを知っておくことで、審査を有利に進めることができます。
ファクタリングは資金繰りを円滑にする手段となる一方で、審査に通過できなければ、結果として現金化するまでに時間がかかってしまいます。必要な書類など事前に確認できる項目については、準備を怠らないようにしましょう。
またファクタリングの審査に通れば、設備投資のための設備資金といった規模感での資金調達も可能となり、多彩な経営戦略を描くことも可能です。
ぜひ当記事を読んで、ファクタリングの審査に通るコツを抑えてみてください。