「助成金ってどんなのがあるのか良く知らない」
「限られた企業しか助成金は受け取れないんでしょ?」
「限られた企業しか助成金は受け取れないんでしょ?」
などと考えている経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、助成金とはその要件さえ満たせば、まず間違いなく支給される資金であり、交付条件をクリアしているのであれば、ぜひ受け取っておきたい資金といえます。
そんな助成金は非常に種類が多く、国から交付されるものだけではなく、自治体などから交付されるものもあります。
そんな助成金に関して、2023年現在交付されているものなどを紹介していきましょう。
Contents
助成金の総数は200以上
助成金に関して細かく調べていくと、その総数は相当数になります。ちなみに東京都の「東京都中小企業振興公社」が交付している助成金だけでも42種類の助成金があります。
そんな助成金のすべてをここで紹介することはできませんので、
全国の中小企業経営者が利用できる助成金の中から、
特に注目すべき助成金として、人材確保、人材育成に関わる助成金に関して詳しく紹介していきたいと思います。
全国の中小企業経営者が利用できる助成金の中から、
特に注目すべき助成金として、人材確保、人材育成に関わる助成金に関して詳しく紹介していきたいと思います。
【2023年最新版】中小企業向けおすすめ助成金
長年続く少子高齢化の影響もあり、中小企業経営者にとって重要な課題となっているのが
人材の育成や確保といった面ではないでしょうか。
人材の育成や確保といった面ではないでしょうか。
こうした人材や雇用に関する助成金に関してまとめて紹介していきたいと思います。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は厚生労働省が実施している助成金であり、端的に言ってしまえば、アルバイトや派遣労働者など、
非正規社員の処遇を改善し、キャリアアップに力を入れている企業に対して支給される助成金となります。
このキャリアアップ助成金も、細かく分けると以下の7つのコースに分類されます。
正社員化を支援するコース | 正社員化コース |
障害者正社員化コース | |
処遇改善を支援するコース | 賃金規定等改定コース |
賃金規定等共通化コース | |
賞与・退職金制度導入コース | |
選択的適用拡大導入時処遇改善コース | |
短時間労働者労働時間延長コース |
それぞれのコースの条件や助成金の額など詳細を紹介していくと長くなってしまいますので、この中から「正社員化コース」に関して詳細を紹介していきます。
★支給対象となる事業主(全コース共通)
・雇用保険適用事業所の事業主
・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている
・雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けている
・実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる
・キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組む
・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている
・雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けている
・実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる
・キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組む
★正社員化コース支給条件
・就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期雇用労働者等を正社員化した場合
・正社員化後6か月間の賃金を、正社員化前6か月間の賃金より3%以上増額させている
・1年度で1事業所あたり20名まで支給
・正社員化後6か月間の賃金を、正社員化前6か月間の賃金より3%以上増額させている
・1年度で1事業所あたり20名まで支給
★支給額(中小企業の場合)
・有期用労働者から正社員化 → 570,000円(1人あたり)
・無期用労働者から正社員化 → 285,000円(1人あたり)
・無期用労働者から正社員化 → 285,000円(1人あたり)
厚生労働省の作成した助成金のルールから抜粋していますので、少々言い回しが回りくどい、分かりにくい部分もありますので、非常に分かりやすくまとめてみます。
アルバイトや派遣社員などの非正規社員を正社員として登用し、その社員の給与支給額が正社員化前までと比較して3%以上アップしていれば支給を受けられるという助成金となります。
申請ができるのは、正社員化して6ヶ月以上が経過してからとなりますので、該当する事業主の方は、申請を検討してみましょう。
トライアル雇用助成金
各助成金に関して詳細に解説していくと長くなりますので、
ここからは簡潔に要点だけをまとめて紹介していきます。
ここからは簡潔に要点だけをまとめて紹介していきます。
トライアル雇用助成金は、これまでの職業経験、知識、技能などの面で、新たに就職することが難しい状況の方を雇用し、使用期間を経て本採用とした企業に対して交付される助成金です。
この助成金にも複数のコースがありますが、もっとも一般的なコースの場合の交付条件は以下になります。
★トライアル雇用助成金の交付条件
・ハローワーク等に求人を出す
・ハローワーク等から紹介された求職者をトライアル採用する
・3ヶ月間のトライアル採用後、本採用をする
・本採用した従業員の1週間の労働時間が30時間を超えている
・ハローワーク等から紹介された求職者をトライアル採用する
・3ヶ月間のトライアル採用後、本採用をする
・本採用した従業員の1週間の労働時間が30時間を超えている
つまり、ハローワークなどから紹介された人材を試用期間付きで採用し、試用期間後に本採用すると交付される助成金です。
ただし、この人材に関してもいくつかの条件がありますので、その条件をクリアしている必要があります。
この助成金は、いわゆるフリーターやニートの方、また出産・育児で一定期間仕事に就けなかった女性などを積極的に採用するように設けられており、雇用機会の創出という目的で交付されています。
交付される金額は、雇用した方1人あたり月額最大4万円まで、1事業所で最大12万円まで支給を受けることができます。
人材確保等支援助成金
魅力ある職場づくりのために、労働環境の改善をするなどした事業主に対して交付される助成金となります。
この助成金にも複数のコースがあり、各事業主が該当するコースにおいて申請を行う形になります。
人材確保等支援助成金 | 雇用管理制度助成コース※ |
介護福祉機器助成コース | |
中小企業団体助成コース | |
人事評価改善等助成コース | |
建設キャリアアップシステム等普及促進コース | |
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野) |
|
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野) |
|
外国人労働者就労環境整備助成コース | |
テレワークコース |
※2022年4月1日以降、新規受付停止中
この中から多くの中小企業が対象となり、
また2023年現在気になるコースとして、「テレワークコース」の交付条件を確認しておきたいと思います。
★人材確保等支援助成金(テレワークコース)の交付条件
【機器等導入助成要件】
・テレワーク実施計画を作成し、管轄の労働局に提出する
・テレワークに関する就業規則や労働協約の整備を行う
・一定期間内にすべてのテレワーク労働対象者が最低1回以上テレワークを行う
・テレワーク労働対象者が週平均1日以上テレワークを行うこと
・テレワークを実施しやすい職場環境を整えること
・テレワーク実施計画を作成し、管轄の労働局に提出する
・テレワークに関する就業規則や労働協約の整備を行う
・一定期間内にすべてのテレワーク労働対象者が最低1回以上テレワークを行う
・テレワーク労働対象者が週平均1日以上テレワークを行うこと
・テレワークを実施しやすい職場環境を整えること
【目標達成助成】
・テレワークを実施したことにより離職率が低下していること
・最終評価時の離職率が30%以下であること
・テレワークを実施したことにより離職率が低下していること
・最終評価時の離職率が30%以下であること
テレワークという新しい働き方を積極的に導入することで、人材の確保、雇用の安定の実現を目標とする助成金といえます。
助成される金額は以下の通りとなります。
機器等導入助成金 | 目標達成助成金 |
機器の導入経費の30% | 支給対象となる経費の20% (賃金要件を満たした場合は35%) |
人材開発支援助成金
従業員に対し、自社の職務に関して必要な職業訓練などを実施した場合、その訓練経費や訓練期間の賃金に対して交付される助成金です。
この助成金も「人材育成支援コース」、「教育訓練休暇等付与コース」、「人への投資促進コース」、「事業展開等リスキリング支援コース」の4つのコースに分かれており、それぞれ交付の条件が変わります。
人材育成支援コースの交付条件を確認しておきましょう。
★人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の交付条件
・事業所ごとに1名の職業能力開発推進者を指名する
・職業能力開発推進計画を立案する
・職業能力開発推進計画書に沿った訓練を実施する
・職業能力開発推進計画を立案する
・職業能力開発推進計画書に沿った訓練を実施する
職業能力開発推進者とは、職務に必要な訓練を計画したり、訓練を受ける従業員への指導などを行う者であり、それなりの役職に就く者であることが求められます。
自社内で職業訓練を行うことで、優秀な人材を揃えて事業に当たるという事業主に対する助成金ということになります。
助成される金額は以下の通りです。
経費に対する助成 | 訓練の間の賃金に対する助成 |
訓練に必要な経費の45~70% | 1人あたり1時間760円 |
両立支援等助成金
仕事以外に出産、育児、介護などを行う方に対し、雇用を継続させるための環境整備に取り組む中小企業に対して交付される助成金となります。
この助成金も3つのコースに分かれますが、特に「出生時両立支援コース」は、男性従業員が育児休暇を取りやすくなる環境整備を行っている事業主に対して交付される助成金であり、近年注目を集めている助成金となります。
この出生時両立支援コースに関して、交付条件や交付金額を確認しておきましょう。
★出生時両立支援コースの交付条件
・男性従業員が育児休暇を取得しやすい雇用環境の整備措置を複数行っている
・産後8週間以内に男性従業員に連続して5日以上の育児休暇を取得させる【第一種】
・第一種助成金を受け取った事業主が、男性従業員の育休取得率を3年以内に30%以上上昇させる【第二種】
・産後8週間以内に男性従業員に連続して5日以上の育児休暇を取得させる【第一種】
・第一種助成金を受け取った事業主が、男性従業員の育休取得率を3年以内に30%以上上昇させる【第二種】
なかなか男性従業員の育休取得が進まないという問題が解決しない中、積極的に男性従業員が育休を取得できるように対策している中小企業が交付対象となっており、より男性が育休を取得しやすい環境を作るための助成金となります。
助成される金額は以下の通りです。
第一種助成金 | 第二種助成金 |
20万円 | 1年以内に30%上昇達成 60万円 2年以内に30%上昇達成 40万円 3年以内に30%上昇達成 20万円 |
助成金を利用するメリットとデメリット
ここでは一部の助成金に関して紹介しました。
要件を満たせそうな助成金もあったかと思いますが、
そもそも助成金を利用する事に関して、どのようなメリットやデメリットがあるのかを確認しておきましょう。
【メリット】返済不要で審査にも通りやすい
メリットはなんといっても原則返済不要で受け取れるという点が挙げられます。自社が助成金の要件を満たすようであれば、申請をするだけで、ある程度の現金が手に入るのですから、利用するメリットは大きいといえます。
また、一部審査が必要な助成金もありますが、原則助成金とは、中小企業の経営を応援する目的で創設されていますので、審査が厳しいということはありません。場合によっては、審査に通らない場合も、どこをどう修正すれば良いか指導をしてもらえることもありますす。
【デメリット】こまめなチェックと入念な準備が必要
デメリットといっても大きな問題はありませんが、あまりに数が多いというのはひとつのデメリットかもしれません。助成金の数が多すぎるため、どこからどんな助成金を受け取れるのか、それをチェックするだけで膨大な時間がかかります。
また、実際に助成金の申請を行うにしても、いろいろな書類や計画書などが必要になります。もちろんこうした書類の作成も仕事の中で行う必要がありますので、大切な労働力を割いてまで申し込む価値があるのかどうかを考える必要があります。
簡単に言ってしまえば、助成金の交付はどうしてもお役所仕事となるため、申請も審査も面倒が多く、利用する余裕がないというのがデメリットとなります。
まとめ
中小企業に対しては、厚生労働省など国が交付する助成金以外にも、各自治体などが交付する助成金もあるため、しっかり調べれば、交付を受けられる助成金があるかもしれません。
助成金のほかに補助金というものもありますが、補助金と助成金に大きな違いはなく、どちらも原則返済不要の資金です。厳密に違いを言えば、交付の枠が決まっており、申し込んだ企業から一部の企業のみが選ばれて交付されるのが補助金、要件さえ満たしていれば、数の上限なくどの企業も受け取れるのが助成金となります。
助成金の交付申請にはある程度の手間はかかりますが、返済不要の資金と考えれば、申請できるものは申請するのがベターでしょう。
数が多く大変かと思いますが、まずは自社のある自治体などの助成金をチェックしてみましょう。