
「気づいたら資金ショートしてたんだけど対策はある?」
「他の会社はどうやって資金ショートを回避しているの?」
企業としては避けたいのが資金ショートという状況です。常にしっかりと現金を確保し、余裕のある経営をするのが理想ですが、どうしても資金ショートが発生してしまうというケースもあるでしょう。
資金ショートを回避するリアルな対策や、それでも発生してしまった場合の対処法などに関して詳しく解説していきます。
資金ショートとは?
資金ショートとは、単純に企業の手元の現金が不足する状態を表します。
手元に現金が不足しているため、支払いに対応できない、納税ができないなどの問題が発生している状態であり、企業としては非常に危険な状態と言えます。
資金ショートの大きな特徴としては、黒字経営でも発生する可能性がるという点です。例えば仕入れ費用が1,000万円で、自社が提供する商品が2,000万円で売却できれば、単純に1,000万円の黒字です。しかし、1,000万円の支払いが1ヶ月後で、2,000万円の入金が2ヶ月後となると、仕入れ費用の支払いができないケースがあるわけです。これが資金ショートです。
実際に黒字経営なのに倒産してしまう「黒字倒産」では、この資金ショートが原因となるケースが多く、黒字経営だからといって安心していると最悪の事態に陥る可能性があるわけです。
赤字経営との違い
資金ショートと赤字経営は似たイメージがあるかもしれませんが、全く違う状況です。赤字経営とは、仕入れ費用などの経費よりも売価が安くなってしまう状況であり、商品やサービスを提供しても利益が出ない状態を指します。
利益が出ていないとはいえ、手元に現金があれば資金ショートではないため、経費削減や売価アップなどの対策で黒字転換すれば企業経営としては比較的安定する可能性が高いと言えます。赤字経営と比較すると、手元に現金が不足している資金ショートの方が深刻な状態と考えることができます。
債務超過との違い
債務超過とは自社が持つ資産・財産の合計金額よりも、借入金額の方が大きくなる状態です。もちろん喜ばしい状況ではありませんが、事業自体で利益が出て、手元の現金が不足していなければすぐに会社経営が傾く状態ではないと考えられます。
資金ショートを回避するリアルな5つの方法
資金ショートという状況は中小企業にとっては避けるべき事態です。では、実際に多くの中小企業はどのようにして資金ショートを回避しているのか、そのリアルな方法を紹介していきましょう。
自社の入出金のタイミングを正確に把握する
資金ショートを回避するためには、何より自社の入出金のタイミングを正確に把握しておくことが重要になります。基本的には1ヶ月単位での管理となりますが、さらに細分化して10日単位で把握する、また長期的に3ヶ月後まで把握しておくなど、より細かく入出金のタイミングを把握しておくのがおすすめです。
常に自社のキャッシュフローを把握しておくことで、現状の資金状況が分かりやすくなりますし、資金が厳しくなるタイミングをある程度予測できるようになります。事前に危険なタイミングが分かっていれば、取れる対策もありますので、資金ショートの可能性は大幅に抑えることができるでしょう。
支払いのタイミングを遅らせるために交渉する
資金ショートの原因になるのは、入金タイミングと出金タイミングのずれです。すべてのタイミングを自社の都合に合わせて調整することは簡単ではありません。しかし、その一部であれば交渉の余地はあるでしょう。
例えば取引先への買掛金の支払いタイミングを少し遅らせてもらう、もしくは分割払いにしてもらうなどができれば、資金ショートの回避が可能になります。
こうした交渉は重要ではありますが、しっかり取引先と信頼関係を結んでおくのが重要になります。信頼関係のない相手から急に支払いを遅らせてくれと頼まれても、取引先としては不信感しか持ちません。場合によってはその後の取引に影響が出る可能性もありますので、相手との関係を築くなど、日頃からの対応が重要になります。
手持ちの資産を現金化する
手元の現金が不足しているのであれば、現金以外の資産を現金化するのも一つの方法です。持っている株式や不動産を現金化すれば、資金ショートという事態は回避できるでしょう。
もちろん資産を現金化してしまえば、その分資産は減ります。資金ショートの危険性がないタイミングで、新たな資産を確保するのも重要になるでしょう。
適正在庫と在庫回転率の調整
在庫は抱えすぎると資金ショートの原因となります。そこで自社の在庫の状況をしっかりと把握し、最適化していくことが重要になります。不要な在庫を抱え込まないように入荷状況を確認し、在庫の回転率を上げることで仕入れ費用を抑えることができますので、資金ショート回避に直結するでしょう。
ファクタリングの活用
資金ショートが一時的な問題であれば、ファクタリングという方法を活用するのもおすすめです。ファクタリングとは、自社が持つ売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金を入金期日前に現金化するという資金調達法になります。
比較的利用しやすく、リスクも少ないことから資金ショートに直面しそうなケースではいつでも活用できるように準備しておくのがおすすめです。
一時的な資金ショート対策にはファクタリングがおすすめ
ファクタリングは利用しやすい資金調達法として、近年利用する中小企業も増えています。経営者の方はしっかりファクタリングの特徴を把握し、最適なタイミングで利用できるように知識を身に着けておきましょう。
現金化スピードが早い
ファクタリングの大きな特徴としては、現金化のスピードが早いという点が挙げられます。一般的なファクタリングでは申し込んでから2~3日程度での現金化が可能です。さらに近年では申し込み即日の現金化に対応するファクタリング会社も増加傾向にあり、急場を凌ぐ方法としては非常に優秀な方法になっています。
貸金契約ではないので返済義務が生じない
ファクタリングは上記の通り、売掛債権を譲渡し、その対価を受け取る契約です。つまり債権譲渡契約であり、貸金契約ではありません。貸金契約ではないということは、後の返済義務が生じないということになります。
返済がないため長期的な資金繰りの計画を立てる必要がなく、利用しやすいのが特徴と言えるでしょう。
財務状況に関係なく利用しやすい
ファクタリングを利用する場合も、金融機関から資金融資を受ける場合と同様に審査を受ける必要があります。ただし、融資審査とファクタリング審査では通過しやすさに差があります。その理由は、何を重視して審査を行うかという点です。
融資審査の場合、融資した資金を長期的に返済できるかどうかが重視されます。そのため申し込み企業の財務状況、経営状況、今後の経営計画、経費削減案などを多角的に審査し、返済能力の有無を見極めます。それだけ審査通過が厳しくなるわけです。
ファクタリングの審査で重視されるのは、持ち込んだ売掛債権が確実に現金化されるかどうかという点です。契約の性質上、売掛金が入金されればファクタリング会社としてはマイナスはないため、審査をされるのは申し込み企業よりも、その取引先(売掛先)の経営状況になります。
ファクタリングは赤字経営の企業でも、債務超過でも、税金未納の状況でも審査に通過する可能性があり、融資審査と比較すればより利用しやすいというのが特徴です。
ファクタリングを利用する際の注意点

一時的な資金ショートを回避するためには、ファクタリングの利用は非常に有効な手段です。しかし、ファクタリングを利用する場合には、知っておくべき注意点がいくつかあります。そんな注意点を紹介していきます。
手数料が必要になる
ファクタリング契約では必ず手数料が発生します。この手数料の部分がファクタリング会社の儲けの部分に当たりますので、手数料がないファクタリング契約は存在しません。
手数料に関しては、ファクタリング会社がそれぞれ独自に設定しており、手数料を制限するような法律はありません。制限のないファクタリング手数料ですが、一般的な相場というものは存在します。申し込み企業とファクタリング会社の2社間で契約する2社間ファクタリングの場合で10~30%程度、この2社に取引先(売掛先)も含めた3社間ファクタリングで1~9%程度が相場と言われています。
始めてファクタリングを利用する場合は、しっかり相見積もりを取って、もっとも有利な条件で契約できる会社を探しましょう。
償還請求権の有無を確認する
ファクタリング契約で手数料とともに確認したいのが償還請求権の有無です。ファクタリングで結ばれる債権譲渡契約においては償還請求権のない「ノンリコース」契約が基本です。償還請求権がある「リコース契約」を結ぼうとする業者はファクタリング会社としては悪徳業者に含まれますのでご注意ください。
償還請求権とは、万が一売掛金が入金されなかった場合、申し込み企業がそのリスクを負わなければいけないという権利です。売掛金相当額をファクタリング会社に支払う、または一度譲渡した売掛債権を買い戻すといった方法が考えられます。
しかし、債権譲渡契約では、債権が譲渡されたのと同時に、売掛金の未回収リスクもファクタリング会社に移行しなければいけません。ファクタリング会社は未回収リスクを負うことで、手数料という儲けを手にすることができるというのが債権譲渡契約の基本ですので、ファクタリング契約を結ぶ際は必ず償還請求権の有無を確認しましょう。
ファクタリングに依存しないような資金繰りを目指す
ファクタリングの注意点としては、売掛金の入金日が変更になるという点が挙げられます。つまり、ファクタリングによって売掛金の早期現金化が叶いますが、その代わりその売掛金が本来入金されるタイミングでの収入がなくなるということになります。簡単に言ってしまえば、売掛金の前借ですので、その後の資金繰りが重要になります。
本来売掛金が入金されるタイミングでの収入がなくて資金ショートを起こすようだと、また新たにファクタリングで対応するなどの事態が考えられます。こうしてファクタリングに依存してしまうと、それだけ手数料の支払いが増え、損失も増えてしまいますので注意しましょう。
まとめ
企業経営者としては資金ショートはできる限り避けるべき状況です。そのためには自社のキャッシュフローを正確に把握し、資金ショートが発生するタイミングが無いように工夫する、どうしても発生するのであれば事前にそのタイミングを把握することが重要です。
そのうえで資金ショート対策を行うのが重要になりますが、その一つとしてファクタリングの有効活用があります。ファクタリングは中小企業庁も利用を推奨する合法な資金調達法ですので、しっかりその仕組みを理解し、いつでも利用できるように準備しておきましょう。