絶対NG!ファクタリングでやってはいけないこと

緊急の資金調達にとても役立つファクタリングですが、契約にあたってやってはいけないNG行為が存在します。知らずに契約して、意図せず犯罪者になってしまうのは絶対に避けたいですよね。

この記事では、ファクタリングでやってはいけないNG行為について詳しく解説していきたいと思います。

ファクタリングの概要

ファクタリングとは、企業が売掛債権を売却して本来の支払期日よりも前に現金化する資金調達手段のことです。

本来であれば数か月先にならないと入金されない売掛金が、様々な事情により前倒しで必要になることがあります。
そうしたときに、現状で最も素早く現金化できる方法としてファクタリングの需要は日々増加しているのです。

ファクタリングの手数料が高いワケ

スピーディーさがファクタリングのメリットですが、一方手数料はなかなかに割高です。
銀行融資など他の主だった資金調達手段の金利と比べてみるとこのような感じです。

  • 2社間ファクタリング:8~18%
  • 3社間ファクタリング:1~9%
  • 銀行・信用金庫融資:1~6%
  • 公的融資:1~3%
  • ビジネスローン:1~18%

ご覧のとおり、ファクタリングはビジネスローン並に手数料に幅があることがわかりますね。
ビジネスローンも他の融資に比べると入金が早い傾向にありますから、入金スピードと引き換えに手数料が上がるとも言えるでしょう。

ただ、ファクタリングはビジネスローンと違い、一定の期間をかけて返済するわけではありません。

売掛債権を売却して終わりの売買契約であるファクタリングで、手数料が高くなるのはどういった理由からでしょうか?

ファクタリングの流れ

ではここでファクタリング契約が完了するまでの流れを見てみましょう。
ファクタリングは契約する会社の数で2つに分類されます。

2社間ファクタリングでは売掛債権を売却したい企業とファクタリング会社が、
3社間ファクタリングでは売掛債権を売却したい企業とファクタリング会社、さらに売掛債権の債務者となる企業が契約を結びます。

売掛債権を売却したい企業をA社、債務者の企業をB社としましょう。

2社間ファクタリングの場合

1:A社がB社へ商品を販売し、代金100万円の請求書を発行します
2:代金を早期に受け取りたいA社はファクタリング会社にファクタリングを申し込みます
3:審査の後、売掛債権はファクタリング会社へ売却されます
4:買取額から手数料を差し引いた金額が、ファクタリング会社からA社に支払われます
5:本来の支払期日になるとB社からA社に100万円が支払われます
6:この100万円の権利はファクタリング会社に譲渡されていますから、A社はファクタリング会社に100万円を支払います

3社間ファクタリングの場合

1:A社がB社へ商品を販売し、代金100万円の請求書を発行します
2:代金を早期に受け取りたいA社はB社とファクタリング会社にファクタリングを申し込みます
3:審査の後、売掛債権はファクタリング会社へ売却されます
4:買取額から手数料を差し引いた金額が、ファクタリング会社からA社に支払われます
5:本来の支払期日になるとB社からファクタリング会社に100万円が支払われます

回収リスクはファクタリング会社が負担

ファクタリングは売買契約のため、債権譲渡後の回収リスクは全てファクタリング会社が負うことになります。

B社が突然の倒産に見舞われ、期日に支払ができなくなった場合はどうなるでしょう?
すでに売却済みの債権の回収リスクはファクタリング会社が負担するため、A社に弁済の義務は発生しません。つまり、買い取ったファクタリング会社だけが損害を被ることになります。

もちろん、そうならないようにファクタリング会社はB社の支払能力を事前にチェックするわけですが、B社が契約に関与しない2社間ファクタリングでは限界があるためどうしてもリスクを抱えることになります。
このため2社間ファクタリングの手数料は高めに設定されることが多くなるのです。

3社間ファクタリングの手数料が安いワケ

3社間ファクタリングの場合は、A社B社共に契約を結びますから2社間よりもB社の情報を確認しやすく、また期日になればB社が直接ファクタリング会社に入金してくれますからファクタリング会社の回収リスクは軽減されます。
このため3社間ファクタリングの手数料は安いことが多いのです。

ファクタリングにおけるNG行為

ではここからはファクタリングにおけるNG行為を確認していきましょう。

売掛金を支払わない

2社間ファクタリングの流れを見て気づいた方もおられるのではないでしょうか?

5でB社からA社に支払いがあり、6でA社はファクタリング会社にこれを振り込みます。
売掛債権の権利はすでにファクタリング会社に譲渡されていますから、この売掛金はファクタリング会社のものであり、A社は基本的には1両日中にファクタリング会社に振り込むよう契約することがほとんどです。

ですが、経営難が解消されないなどといった理由からこれをファクタリング会社に支払わずに使い込んでしまう利用者もいます。

当然契約違反ですし、悪質であると判断されれば詐欺罪に問われる可能性もあります。
万が一、振り込みが難しい事態に陥った場合は正直にファクタリング会社に相談しましょう。
よほど故意的でない限り、きちんと話を聞いて解決策を一緒に考えてくれるファクタリング会社が多いですよ。

実体のない売掛債権で架空請求

これは、存在しない売掛債権を捏造し、偽の請求書を用意してファクタリング契約に利用する行為で、れっきとした犯罪です。
2社間ファクタリングでは売掛先に直接確認がとれないため、契約書や通帳の履歴なども全て偽造してしまえばファクタリング会社が見抜くことは困難です。

悪質なものでは売掛先と共謀して架空の売掛債権を売却し、得た現金を利用者と売掛先で山分けするケースも。
こちらは詐欺罪の他、偽造罪にも問われることがあります。

売掛債権の多重譲渡

こちらも原理は架空請求と同様ですが、一つの売掛債権を複数のファクタリング会社に売却するやり方です。

ファクタリング会社は銀行のように横の繋がりがなく情報共有があまりされていないため、今契約に使われている売掛債権が売却済みのものかどうかは支払期日がくるまでわかりません。
これを逆手にとって一つの売掛債権を2社、3社と同時に契約に利用し、いざ支払期日が来てみれば入金されるのは1社だけ。
他のファクタリング会社は買取金をすでに支払っているにも関わらず、入金されないことになります。

詐欺罪の他、横領罪を適用される可能性も高い行為です。

売掛債権の金額を水増し

請求書を書き換えて、売掛債権の金額を水増しすることも犯罪行為にあたります。

請求書が作成された時点から、期日になる頃までに値引きや返品などで実際の金額が変わることはあるでしょう。
金額の変更が予想された時点でファクタリング会社に予め相談しておきましょう。
ファクタリング会社が事情を一切知らないまま期日を迎えれば当然トラブルになりますし、利用者にとっては不可抗力だったとしても悪印象を持たれてしまえば損害賠償を請求されてしまうこともあり得るからです。

該当する罪状・罰則

上記の行為を実際に行った場合どのような罪に問われ、どのような罰則があるか、しっかりと目を通しておき、故意でなくても回避できるようにしておきましょう。

偽造罪

刑法 第159条 (私文書偽造等) 3か月以上5年以下の懲役

ないはずの書類を偽造すると適用されます。
存在しない売掛債権の請求書偽造などに適用されることがあります。

ちなみに身分証明に使うような免許証やパスポート、マイナンバーカードなど公的機関が発行する書類を偽造した場合は公文書偽造罪が適用されます。

詐欺罪

刑法 第246条 (詐欺罪) 10年以下の懲役

請求書の水増しや、売掛金の使い込み、多重譲渡などでは詐欺罪が適用されます。
架空請求にもこちらが適用されることがあります。

横領罪

刑法 第253条 (業務上横領罪) 10年以下の懲役

売掛金の使い込み、多重譲渡などにはこちらが適用されることもあります。

これは大丈夫?

ここまでご覧になって不安になった方も少なくないのではないでしょうか。
上に挙げたNG行為と似ているようで、法的にもファクタリング会社的にも全く問題ないものもあります。複数契約と乗り換えです。

同時に複数のファクタリング契約をする

多重譲渡はダメなんじゃないの? と思われた方、もちろん多重譲渡は違法です。

ただ、あくまで一つの売掛債権で複数の契約、という点が違法なのであって、複数のファクタリング会社と契約=違法 ではありません。
自社が例えばB社の売掛債権、C社の売掛債権、D社の売掛債権を保有していた場合、まとめて一つのファクタリング会社と契約するのも良いですが、それぞれの売掛債権を最も高く買い取ってくれるファクタリング会社と別々に契約することも可能なのです。

ファクタリング会社を乗り換えたい

年単位の契約などで月ごとに売掛債権が発生する企業はファクタリングの継続契約をすることがあります。
この継続契約を途中で他社に乗り換えることは違法でもなんでもありません。
他者からの乗り換えを歓迎しているファクタリング会社であれば、スムーズな乗り換えの相談にも乗ってくれるでしょう。

まとめ

売掛金を支払わない、架空請求や多重譲渡、債権の水増しなどは詐欺罪や偽造罪、横領罪に問われる可能性が高く、ファクタリング会社からは損害賠償を請求され、会社の信用も失いかねないリスクの高い行為です。意図せずそういう状況に陥りそうになったときは、早めにファクタリング会社に相談しておきましょう。

一方、複数債権の同時契約やファクタリング会社の乗り換えは上記と混同されがちですが法的に全く問題ありません。
正しく理解して、NG行為を避けつつ柔軟にファクタリングを活用しましょう。

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