昭和の高度経済成長期を支えてきたような経営者の方は、今まで自分のキャリアの中で培ってきた経験やノウハウ、見識を支えにビジネスをしていますので、新しく入ってきた新参者というイメージのあるファクタリングについてはどうしても拒否しがちです。
ファクタリングは1970年代から日本にある古い方法とはいえ、昭和の当時は手形が全盛。どうしても昭和世代の経営者の方にはこのファクタリングが理解してもらえないというケースもあるのではないでしょうか。
登場人物紹介
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チョウタツ王
中小企業経営者を支援する資金調達界の救世主。
ファクタリングを世に広めるため日々活動中。 -
ヒロコ
チョウタツ王のもとで助手として働く。
ファクタリングについて日夜研究中。 -
間宮社長
運送会社を経営している実力派の熱血社長。 -
間宮社長父
間宮社長の父親。
~間宮社長の会社にて~
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間宮社長こんにちは♪
今日はどんな美味しいランチに連れてってくれるんですか?
あら、間宮社長いらっしゃらないんですか?いや、いるわね、なんだか電話しているわ。 -
だから親父、今は手形割引なんか使わなくてもいい資金調達の方法があるんだって!え?融資じゃないよ、売掛債権を買い取ってもらうんだ!
もう、とにかくわからない親父だな!分かった、今からそっちに行って説明するから変なことだけは絶対にするなよ!
ああ、ヒロコちゃん。ごめんね。今からちょっと親父の町工場に行かなきゃいけなくなっちゃったんだ。 -
町工場を経営されている、間宮先輩のお父様のところですね。何かあったんですか?
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そうなんだよ。詳しく話を聞いてみないと分からないんだけど、どうも親父の会社で機械が壊れてしまって生産がストップしちゃったみたいなんだ。それで資金調達が必要になったんだけど、どうしてもファクタリングをOKと言わなくてね。ちょっと説得に行かなきゃいけないんだ。
せっかくだからヒロコちゃん、ちょっとだけ付き合ってもらえないかな?
ファクタリングそのものがわからないという人にファクタリングを説明する勉強にもなるだろうし、後で美味しいディナーご馳走するからさ♪ -
美味しいディナーと言われると弱い。じゃあ私もついていきますね♪
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(転んでもタダじゃ起きんぞ)
~間宮父の工場にて~
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親父、何をしているんだ?
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何をって、当たり前だろう、会社をたたむ準備だ!
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何をバカなこと言っているんだ!ファクタリングという方法で資金調達はできるってさっき教えたばっかりだろう!そして銀行の融資だってまだ考えられるだろう!
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お前こそ馬鹿を言うな。俺はな、この会社を立ち上げた時から絶対に無借金経営を貫くと決めているんだ。人様に頭を下げてお金を借りて返すを回すくらいなら潔くたたんでしまうわ!!
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まあまあ社長さん、落ち着いてください。
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ん?これはこれは美しいお嬢さんだ。お恥ずかしいところをお見せして申し訳ないね、いつもうちの息子がお世話になっております。 さあ、何もないところですがまずはヨウカンでも召し上がりませんか?
それか何か美味しいおしるこでも食べに行きますか?知り合いのお店が美味しいおしるこを出していて・・・ -
ありがとうございます。まずはお気持ちだけ♪
(DNAって怖いわね) -
それで親父、実際問題どういう状況なんだ?
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どうもこうもない。何十年もずっと一緒に働いていた相棒の機械が壊れてしまってな。今注文をもらっている製品が製造できない状態なんだ。この製品が製造できないと納品もできないし最終的には相手先に迷惑をかけてしまう。
それどころか納品ができないと代金をもらうこともできないからな。遅かれ早かれ資金ショートを起こすのは時間の問題なんだ。
それならもういっそのこと、早めに先方さんに頭を下げて会社を畳んだ方が良いんだ。 -
どうしてそう話が飛躍するかな
とにかく親父、銀行からの融資を受けて当然を乗り切るという方法があるだろう!? -
うんにゃ、その手には乗らん!
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わしはお前ほど軟派じゃないんだ。そんなチャラチャラした銀行融資などを受ける必要はない!
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銀行融資を受ける気持ちがないというのはよくわかった。
それならせめて、売掛債権を売却して資金計画を立て直そうよ、親父。ファクタリングという方法があるから。 -
お前のようなチャラチャラした奴からのアドバイスは受けん!だいたいそのファクタリングだかも、横文字だから詐欺だろう!
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出た。横文字イコール詐欺っていう頑固おやじあるある。
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まあまあ社長さん、最近はそういうご高齢の経営者の方もファクタリングを使ったりして資金調達をしたりしているんですよ?
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ええ?ヒロコさん、あなたがおっしゃるならあながち悪いものでもないんですかねえ?
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とりあえず俺は親父の息子だということがよくわかったよ
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それにしてもこのヨウカンうまいのう。水羊羹じゃなくて、しっかりとした練り羊羹というのがまた格別じゃ。
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ちょ、チョウタツ王!!いつの間に。いらしていたんですか!
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おお、間宮社長、お邪魔しておるぞ。お父さん、どうもはじめまして、チョウタツ王ですじゃ。
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チョウタツ王…?俺と歳は近そうだが、この方は信頼できる方なのか?
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ちょっと親父、チョウタツ王に向かってなんてことを!!
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まあまあ間宮社長。
あー、親父さん、最近の巨人戦はまた見応えがあるようになってきましたなあ -
・・・わかりますか!私も巨人ひとすじ何十年でやってきたんです。あなたも巨人ファンですか!この人は信頼できる方だ。
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すごい、同年代にしかできない技かもしれない
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そうね、これはすごいわ
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ともかく親父さん、無借金経営を貫くというのはとても良い選択肢だと思います。そのお考えは立派ですじゃ。
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そうでしょう?だから私は潔く会社をたたむ用意をしているんです。
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しかしそれも考えものですじゃ。会社を畳んだところで従業員の生活はどうなりますか?その家族もいますぞ。取引先だって親父さんしか作れないような製品で会社を回しているということもあるでしょう。
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う・・・確かにそれはそうです。
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それなら、ファクタリングを使ってみませんか。これは借金ではありませんですじゃ。
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さっきから出てきているそのファクタリングというのは・・・?
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ファクタリングというのは、例えば親父さんの会社から納品書と一緒に請求書を取引先に送ったとしましょうぞ。 その時に代金は再来月の月末に入金してくださいと請求書に書いたりしますじゃろ?
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そうですね、だいたい私の会社は製品を納品してきちんと検品してもらってOKが出てから請求書を送るようにしています。
その請求書の中にはだいたい2ヶ月後の月末に入金してくれれば良いですと言うことを書いていますね。 -
そうなると例えば今の時点で機械が動かなくて工場がストップしていたとしても、来月と再来月の入金は確実にあるというわけですじゃな?
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そうなります。特に来月と再来月は繁忙期の部分の請求なのでいつもよりも入金はかなり多くなります。でも今月の入金がなければ意味がないんです。
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そうじゃろう、そうじゃろう。その来月と再来月の入金をお願いしている請求書は実は買い取ってもらうことができるんですじゃ。
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請求書を買い取ってもらう?ああ、手形割引のようなものですか!
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システム的にはかなり近いものがありますじゃ。
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手形割引って何ですか?
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ヒロコは知らなくても無理はなかろうて。
昔は手形割引というファクタリングに似たシステムがあってのう。ある会社から振り出された手形はその期限まで現金化することができなかったんじゃ。その手形を手数料を割り引いて現金化する方法が手形割引じゃ。
しかしこの手形割引は今から30年ほど前まで大流行だったんじゃが、手形を割り引いてもらった後も万が一相手先が期日に入金しなかったときはその責任を手形を割り引いてもらった人が負わなければならないというデメリットがあったんじゃ -
それだと安心できませんね。
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そうなんじゃ。この部分の心配をなくしてしまったのがファクタリングといっても良いじゃろ。
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なんだ、そういう事なら早く言ってください。手形割引なら私にも分かります。
手形割引でさらに相手先の入金も気にしなくて良いなんて、最高ではありませんか。 -
日本で今主流になっているファクタリングはノンリコース契約と言って、売掛債権を売却した後は相手先の会社が万が一支払い期日までに倒産したとしても債権を売却した側に責任はかからないんですじゃ。
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すごい!それなら借金にはならないから、すぐにでも申し込みたいところです。
おい息子よ、何でそんないいものがあるって俺に説明してくれなかったんだ! -
(お年寄りへの説明って本当に難しいな)
俺の説明が悪くてすまなかったな親父、でもファクタリングを使うことでその日のうちに売掛債権を売却して会社の口座に現金を送ってもらうことができるんだ。 -
そのようだな。それだととても助かる。でも待てよ、このファクタリングを利用するとなると、相手先の会社さんに何かご迷惑がかかるのではないか?
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そこは私から説明しますね。
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おお、ヒロコさん、教えてください。
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ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングという二つの方法があるんです。
ファクタリングを申し込む社長さんと、ファクタリングを受け付けるファクタリング会社さんとの2社間での契約をすることもできるんです。
この方法を使うと相手先には一切ファクタリングを使っていることがわかりません。 -
連絡なんかも行かないんですか?
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もちろん行きません。入金期日にはそのまま相手先からの入金がお父様の所に入りますのでそれを間違いなくファクタリング会社に送金するだけで手続きは完了なんです♪
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男たるもの絶対に約束は守ります。そこは心配いらないですな。任せてください。
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頼もしいですね♪
項目 | 2社間 ファクタリング |
3社間 ファクタリング |
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売掛先への通知 | なし | あり |
売掛金の入金先 | 利用者の銀行口座 | ファクタリング会社の銀行口座 |
債権譲渡登記 | 必要に応じて | 必要に応じて |
手数料 | 10%~30% | 3%~10% |
売掛金の代金回収 | 利用者 | ファクタリング会社 |
入金までの期間 | 即日~1週間程度 | 即日~売掛先承諾まで |
審査の柔軟さ | 融資より緩い | 2社間より緩い |
総 評 | 売掛先への通知は不要だが3社間に比べ買取額が低い | 審査が緩く買取額が高いが売掛先へ通知が入る |
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それであれば全く問題がないから、こうしてはいられない、すぐにそのファクタリングの会社さんにダイヤルを回してくれ!
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(ダイヤルを回す・・・?ダイヤルは押すものじゃないのかしら)
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よかった。親父も納得してくれたみたいで。
ヒロコちゃん、チョウタツ王、本当にありがとうございました。いつもすみません。 -
なんの、これで一人、資金調達に成功する経営者の人が増えたわけじゃから、ワシとて嬉しいわい。
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私も!さあ、美味しいディナーに誘ってくださいね♪
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もちろんだよヒロコちゃん!さあ、どのお店に行こうか・・・♪
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おーい、ファクタリングの話がまとまりそうだ!ありがとうな!
そしてヒロコさん、今日は本当にありがとうございました。
是非ともお礼にお食事に誘わせてください。
和食にしますか?それとも日本酒の美味しいお店に行きますか?それとも・・・ -
(後輩の皆川社長だけじゃなくて親父までライバルになっちゃった!)
今回のまとめ
ファクタリングは代表者の納得が必要!理解を得るには?
ファクタリングは原則的に会社の代表者がその申し込みに同意をして売掛債権を売却しなければなりません。
2社間ファクタリングであれば相手先の企業に知られずにファクタリングを行うことは可能となっていますが、自社の代表者にはきちんとファクタリングを行うということを通知しなければ原則としてファクタリングが成立しません。(※一部例外もあり)
しかしファクタリングは1970年代から日本にある古い方法とはいえ、昭和の当時は手形が全盛。どうしても昭和世代の経営者の方にはこのファクタリングが理解してもらえないというケースもあるのではないでしょうか。
今回のケースのように昭和の高度経済成長期を支えてきたような経営者の方は、今まで自分のキャリアの中で培ってきた経験やノウハウ、見識を支えにビジネスをしていますので、新しく入ってきた新参者というイメージのあるファクタリングについてはどうしても拒否しがちです。
明らかに条件面でファクタリングが優れており会社の状況を好転させるにはファクタリングの利用しかないというような状況でも、それを理解することができず変なところに手を出すくらいなら会社を潰してしまった方が良いとおっしゃることすらあります。
これが元でファクタリングを断念してしまうのはあまりにももったいないので、こういった場合には様々な方法で経営者の方にファクタリングの利用を納得していただく必要があります。
可能であればファクタリングを申し込む際に、ファクタリング会社の担当者に直接来社してもらいそこでファクタリングの説明をしてもらうという方法も良いでしょう。特に経営者とファクタリングを実際に利用しようとしている担当者の方の間柄が親子や兄弟などで近しいという場合には、第三者が介入することでより冷静に話を聞いてもらえる可能性もあります。
それでも難しければ実際にファクタリングを利用したことがある方に話を聞いたり、ネット上にあるファクタリングの利用体験談をプリントアウトして読んでいただくというのも良い方法でしょう。
実際にファクタリングを利用した人の口コミや体験談は大きな力を持っています。特に経営者の方と近しい境遇の方の体験談などを読めばある程度ファクタリングを使うことに理解を示していただける可能性も出てきます。
とにかくファクタリングを行う際にはそもそも依頼する会社側の内部の調整をきちんと行っておかなければなりません。
最低限、どんなに少なくとも会社の代表者、あるいはトップの方の承諾を得ておくことは必須と言ってよいでしょう。その上でファクタリング会社との調整や売掛先企業との調整が入ってくるわけです。
3社間ファクタリングなどで相手先にファクタリングを行うことを通知する場合も同様に、売掛先の代表者の方があまりファクタリングなどの横文字に強くないという場合はファクタリング会社の担当者に説明の席に同席してもらい、きちんとファクタリングが正規の手順に則った手続きであること、そして何か特別な事情があって売掛債権を譲渡することになったというわけではないなど説明してもらうのがお勧めです。
昭和世代の経営者の方は売掛債権の譲渡や債権の譲渡というキーワードに脊髄反射してしまい会社が倒産するのではないか、この取引を飲むことで自分の会社に何か火の粉が及ぶのではないかと考えがちです。そうではないということをまず冷静に説明をして合法的な手段であると理解をしてもらうというのが、スムーズなファクタリングの売掛債権の現金化への道と言ってよいでしょう。
2社間ファクタリングであれば相手先の企業に知られずにファクタリングを行うことは可能となっていますが、自社の代表者にはきちんとファクタリングを行うということを通知しなければ原則としてファクタリングが成立しません。(※一部例外もあり)
しかしファクタリングは1970年代から日本にある古い方法とはいえ、昭和の当時は手形が全盛。どうしても昭和世代の経営者の方にはこのファクタリングが理解してもらえないというケースもあるのではないでしょうか。
今回のケースのように昭和の高度経済成長期を支えてきたような経営者の方は、今まで自分のキャリアの中で培ってきた経験やノウハウ、見識を支えにビジネスをしていますので、新しく入ってきた新参者というイメージのあるファクタリングについてはどうしても拒否しがちです。
明らかに条件面でファクタリングが優れており会社の状況を好転させるにはファクタリングの利用しかないというような状況でも、それを理解することができず変なところに手を出すくらいなら会社を潰してしまった方が良いとおっしゃることすらあります。
これが元でファクタリングを断念してしまうのはあまりにももったいないので、こういった場合には様々な方法で経営者の方にファクタリングの利用を納得していただく必要があります。
可能であればファクタリングを申し込む際に、ファクタリング会社の担当者に直接来社してもらいそこでファクタリングの説明をしてもらうという方法も良いでしょう。特に経営者とファクタリングを実際に利用しようとしている担当者の方の間柄が親子や兄弟などで近しいという場合には、第三者が介入することでより冷静に話を聞いてもらえる可能性もあります。
それでも難しければ実際にファクタリングを利用したことがある方に話を聞いたり、ネット上にあるファクタリングの利用体験談をプリントアウトして読んでいただくというのも良い方法でしょう。
実際にファクタリングを利用した人の口コミや体験談は大きな力を持っています。特に経営者の方と近しい境遇の方の体験談などを読めばある程度ファクタリングを使うことに理解を示していただける可能性も出てきます。
とにかくファクタリングを行う際にはそもそも依頼する会社側の内部の調整をきちんと行っておかなければなりません。
最低限、どんなに少なくとも会社の代表者、あるいはトップの方の承諾を得ておくことは必須と言ってよいでしょう。その上でファクタリング会社との調整や売掛先企業との調整が入ってくるわけです。
3社間ファクタリングなどで相手先にファクタリングを行うことを通知する場合も同様に、売掛先の代表者の方があまりファクタリングなどの横文字に強くないという場合はファクタリング会社の担当者に説明の席に同席してもらい、きちんとファクタリングが正規の手順に則った手続きであること、そして何か特別な事情があって売掛債権を譲渡することになったというわけではないなど説明してもらうのがお勧めです。
昭和世代の経営者の方は売掛債権の譲渡や債権の譲渡というキーワードに脊髄反射してしまい会社が倒産するのではないか、この取引を飲むことで自分の会社に何か火の粉が及ぶのではないかと考えがちです。そうではないということをまず冷静に説明をして合法的な手段であると理解をしてもらうというのが、スムーズなファクタリングの売掛債権の現金化への道と言ってよいでしょう。