
「借り換えって実際にはどうすればいいの?」
「借り換え以外に返済を楽にする方法ってある?」
企業を経営する以上、ある程度の借り入れは必要です。借り入れをすることで事業を拡大する、新規顧客を開拓するなどが可能になり、結果的に企業が成長していけるという側面は否定できません。
借り入れている以上返済は必要ですが、その返済の負担が大きいと考えた場合、借り換えという方法が考えられます。現在とは違う金融機関等に借り換えることで、返済を楽にするという方法です。
そんな借り換えの基本と実践方法、さらに借り換え以外に利用できる資金調達法に関して紹介していきます。
借り換えとは?
借り換えとは読んで字のごとく、現状借り入れをしている金融機関以外から借り入れを行い、借金を完済することです。借入先を変えることで、金利などより条件のいい契約を結び、返済の負担を軽減することを目指します。
借り換えをするメリット
借入金の借り換えには当然メリットが少なくありません。具体的なメリットを紹介していきましょう。
返済金利を軽減できる
借り入れの最大の目的は、毎月の返済金額を減らし、自社の財務状況を改善することです。たとえば1,000万円を年利10%で借り入れた場合、年間の利息は約100万円です。これを年利8%に借り換えれば、年間の利息負担は約80万円に減少し、経営に余裕が生まれます。
もちろん金利が高くなるような借り換えをする必要はありませんので、借り換えが叶えば当然返済する金利の負担が軽減されるということになります。
財務状況に余裕ができる
毎月の返済金額が少なくなるということは、その分毎月の財務状況が好転することになります。少しでも経営状況に余裕ができれば、人件費を上げる、新たな商品開発を行う、販路拡大を目指すなど、事業拡大ということも可能になるでしょう。その結果売上が上がれば、借入金の返済に苦しむこともなくなりますので、より好条件で契約できるのであれば、借り換えは積極的に行うべきであるといえます。
借り換えをするデメリット
借り換えを行うことで返済金額を抑え、事業資金に余裕ができるのは間違いありません。ただし、借り換え自体にはデメリットもあります。
まずはなんといっても借り入れ審査が必要になるという点です。借り換えとは、ほかの金融機関等から新規に借り入れ、すでに持っている借入金を返済したうえで、新たな機関に返済していくというものです。そのため借り入れ審査に通過する必要があります。
特に経営状況が悪化したために借り換えを考えるという場合は、現状の売上で新規借り入れ申し込みを行うため、必ず審査に通るというものではありません。
この審査以外に関して、借り換えをした場合のデメリットとなる点に関して解説していきましょう。
返済総額が大きくなる可能性がある
借り換えで毎月の返済負担額を減らす場合、2つの考え方があります。単純に金利が安い金融機関等に借り換える方法と、返済期間を長くして毎月の返済額を減らす方法です。
どちらも毎月ベースの返済金額は抑えることが可能です。しかし後者の返済期間を長期化させる方法の場合、長期間返済することで返済総額が高くなるケースがあります。
借入金の金利は、借り入れている企業にとっては純粋な損失に当たる部分です。毎月の返済額が楽になっても、最終的に支払う金利の合計が高額になってしまうというのは、それだけ損失が大きくなることにもなりますので、デメリットと考えていいでしょう。
変動金利や固定金利でデメリットを被る可能性も
借入金の金利には、固定金利や変動金利というものがあります。固定金利は市場の状況に関係なく契約時に交わした一定の金利で返済を続けるというもの、変動金利とは市場の金利状況と連動し、金利自体が上がったり下がったりする契約となります。
どちらが一概に良いというものではありませんが、その特性から借り入れている側にとって有利不利が生じるものです。
変動金利に借り換えたせいで、のちのちに金利が高くなってしまったとなれば、より返済は難しくなります。変動金利から固定金利に借り換えた後、市場金利の変動で変動金利の方が金利が安くなるというケースも考えられます。
固定金利にするか、変動金利にするかで、大きな損失を出してしまう可能性がある以上、借り換えで金利が変更になった場合、デメリットが存在すると考えることができるでしょう。
借り換えの実践方法
借り換えにはメリットもデメリットもありますが、デメリットの部分を十分理解した上で、実践するのは非常に有効な手段と言えます。そんな借り換えの実践方法に関して、一般的な手順を考えてみましょう。
自社の借り入れ状況や条件を確認する
まずは何より現状把握が重要になります。自社が現在どこからどの程度借り入れており、毎月どの程度返済しているのかをしっかりと確認しましょう。借入先の金利や返済条件などを確認しておかないと、借り換えができるのかどうか、また借り換えて有利になるのかどうかの判断が出来なくなってしまいます。
公的制度や金融機関の条件を検討
自社の借り入れ状況を正確に把握した後、ほかの金融機関や公的制度に関して詳しく調べていきます。どの機関でどの程度の金利になるのか、借り換えに対応してもらえるのかなどを検討する段階です。
金融機関や公的機関、公的制度に関してはかなりの数があり、それぞれ貸し付け条件にも違いがあります。すべてを経営者のみの判断で行うのが厳しい場合は専門家に相談するのもひとつの方法です。
経営コンサルタントや税理士といった専門家の意見を借りることで、よりよい借入先が見つかる可能性は高くなります。
借り換えを申し込み審査を受ける
借り換え先が見つかったら、借り換え先に相談に行きましょう。相談において借り換えの申し込みに関して必要な資料や書類などを求められるかと思いますので、必要な書類をそろえた上で正式に借り換えの申し込みとなります。
借り換えの申し込みに関しては、上でも少し触れた通り必ず審査を受ける必要があります。この審査に通過すれば、晴れて借り換えが可能ということになります。
審査に通過したら借り換え契約を結ぶ
審査に通過したら、借り換え先と借り入れ契約を締結し、お金を借り入れてそれまで借り入れていた機関に返済を行えば借り換えは完了です。
借り換えと言えども、形としては新規の借り入れ契約となります。そのため契約時には契約書をしっかりと確認し、不明点が疑問点に関してはすべて解決した上で契約するようにしてください。
借り換えに代わる手段も検討
借入金の借り換えは、金利や返済期間等をしっかりと見極めて行えば非常に有効な手段です。しかし、借り換えと言っても新規借り入れと同等の審査が行われることもあり、どの企業でも気軽に行える方法とは言えません。
そこで、借り換えとは別の手段で、借入金の返済を軽減する方法を知っておくことも重要です。そのひとつがファクタリングです。
ファクタリングがおすすめ
ファクタリングとは、手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金を入金日前に現金化するという資金調達法です。ファクタリングの有効活用に関しては、中小企業庁なども推奨しており、企業経営を行う中で、知っておくべき資金調達法の一つとなっています。
借り換えに代わる手段としてファクタリングを推奨する大きな理由の一つに、ファクタリングか借り入れ契約ではないという点が挙げられます。新たに資金を借り入れるのではなく、すでに自社が持っている売掛債権という財産を譲渡して現金を手にする方法ですので、単純に借入金が減るというのが大きなポイントです。
借入金額が少なくなるということは、それだけ企業の信用情報も良くなり、かつキャッシュフローも改善されるということになります。
ファクタリングを利用する際にも審査というものは存在します。しかし、その審査は借入時の審査と比較すればかなり通過しやすいものになります。ファクタリング会社が審査をするのは、持ち込まれた売掛債権が確実に現金化されるかどうかということが重視されるため、申し込み企業の経営状況や借り入れ状況などはあまり重視されないためです。場合によっては債務超過や税金未納の企業でも利用できる資金調達法ですので、借り換え以上に利用しやすいのが大きなポイントと言えるでしょう。
ファクタリング利用の注意点
借り換えではなくファクタリングで財務状況を改善する場合、注意すべき点がいくつかありますので、そのポイントに関して紹介しておきましょう。
手数料や契約条件を確認する
ファクタリングにも手数料というものが発生します。申し込み企業が現金で支払うのではなく、現金化される売掛金から差し引かれる形で支払うことになります。
ファクタリングの手数料には相場があります。ファクタリング会社と申し込み企業の2社間で契約する2社間ファクタリングの場合10~30%程度、この2社に加え売掛先である取引先企業も含めた3社間で契約する3社間ファクタリングで1~9%程度が相場です。
また契約条件に関しても、債権譲渡登記が必要なケースや、契約破棄条件などが定められていますので、こうした条件をしっかりと吟味したうえで利用することが重要です。特に手数料に関しては、申し込み企業にとっては損失に当たる部分となりますので、しっかりと比較検討して契約するかどうかを決めるのが重要になるでしょう。
売掛金入金予定日周辺の財務状況を予測する
ファクタリングは自社の売掛金を入金日前に現金化する資金調達法です。そのために意識したいのが、本来売掛金が入金されるタイミングの財務状況です。ファクタリングを利用した結果、売掛金入金日の財務状況が厳しくなってしまうと、それを補填するために新たにファクタリングを行うことになることも少なくありません。こうした状況が長く続いてしまうと、自転車操業のようになり、手数料という名の損失がどんどん大きくなってしまいます。
売掛金入金日周辺の財務状況をしっかりと予測し、ファクタリングに頼りすぎずに切り抜けられるよう、キャッシュフローを見直していくのが重要なポイントと言えるでしょう。
まとめ
借入金の借り換えは、実現すれば自社経営に大きなプラスをもたらす方法です。そのため現在の借り入れよりも有利な条件で借りられる金融機関、公的機関があるようであれば、積極的に検討するのがおすすめです。
ただし、借り換えと言っても基本的には新規の借り入れと同様の審査が行われますので、審査に通過できるかどうかが大きな問題です。また、借り換えたことで金利の方式が代わり、結果的に損をしてしまう可能性などもあり、慎重に検討すべき方法でもあります。
借り換えだけではなく、ファクタリングのような資金調達法も同時に検討し、自社にとってもっとも有利かつ利用しやすい方法で借入金の返済負担を軽減していくことがおすすめです。