
「高額の売掛金があるんだけどファクタリングできる?」
「ファクタリングでまとまった資金を調達したいんだけど」
新しい資金調達法として利用する企業も増えているのがファクタリングです。
銀行からの資金融資などと違い、返済の必要がないためより利用しやすい資金調達法といえます。
そのファクタリングでは実際にどの程度の金額を調達できるのか。
ファクタリングの利用限度額に関して詳しく解説していきます。
ファクタリングの限度額はファクタリング会社次第
ファクタリング契約において、売掛金に限度額というものは存在しません。理論上は額面金額10億円の売掛債権でもファクタリングは可能ということになります。
ただし、高額の売掛金をファクタリングしようとした場合、どのファクタリング会社でも受け付けてくれるというわけではありません。
ファクタリング会社の多くは、自社が対応する売掛債権に関して、上限金額や下限金額を設定しています。その設定の範囲内であれば申込めるということになります。
つまり、ファクタリングというシステム自体に上限金額はないものの、現実的にはファクタリング会社が個々に上限金額を設定しており、その金額が限度額であるということになります。
ファクタリングに限度額がない理由
ファクタリングに限度額がないのは、ファクタリングが債権譲渡契約だからです。
ファクタリングは企業の資金調達法の1つです。企業が資金を調達する場合に考えられる方法となると、銀行からの資金融資やカードローン、商工ローンなどが一般的でしょう。こうしたローンや融資はお金を借り入れる契約であり、貸金契約となります。
貸金契約である以上、当然利息が発生しますし、その利息とともに返済をする義務が生じます。そのために担保や保証人を設定したり、今後の事業計画や経削減案をともに提出して返済能力があることを証明する必要があります。また、その企業の規模や売上高などにより、実質的に限度額が設定されることにもなります。
同じ資金調達法ではありますが、貸金契約ではなく債権譲渡契約であるファクタリングには、返済の義務が生じません。手元にある売掛債権を売却し、その売却益を得る契約ですので、限度額という考え方は存在しないということになります。
高額の売掛債権をファクタリングをする場合の注意点
限度額が存在しないファクタリングの場合、高額の売掛金でも申し込みが可能であり、まとまった事業資金を確保するということも可能です。では、実際に高額の売掛金をファクタリングする場合の注意点について解説していきましょう。
ファクタリング会社の対応金額を確認する
まずは利用するファクタリング会社が設定する対応金額を確認するのが重要です。この際
上限金額でけではなく、下限金額にも注目するのがおすすめです。
ファクタリング会社はそれぞれ自社が得意とする分野を持っています。比較的大きな企業を相手に、高額の売掛金を中心にファクタリング対応している会社もあれば、個人事業主やフリーランスを相手に少額の売掛金をファクタリングすることを中心にしている会社もあります。
高額の売掛金をファクタリングするのであれば、その金額を中心に対応しているファクタリング会社を選ぶのがいいでしょう。こうしたファクタリング会社を選ぶことで、より適正に近い手数料での契約が可能になります。通常少額の売掛金を中心に対応しているファクタリング会社に申込んでしまうと、手数料が高くなったり、契約条件が厳しくなる可能性があります。
例えば5,000万円の売掛金をファクタリングするのであれば、下限金額1万円~上限金額5,000万円のファクタリング会社より、下限金額500万円~上限金額2億円としているファクタリング会社の方が、より余裕を持って対応してくれます。
ファクタリングしたい売掛債権の売掛金額に対し、余裕を持った対応が期待できるファクタリング会社を選びましょう。
手数料による損失を理解する
高額の売掛金をファクタリングする場合、より強く意識しておきたいのが手数料です。ファクタリングにおける手数料は、申し込み企業にとっては損失と捉えることができるからです。
仮に5,000万円の売掛金を持っている場合、会社としては5,000万円分の仕事をした、もしくは製品を納品したということになります。この売掛金をファクタリングして、手数料が10%だった場合、手にできる現金は4,500万円です。会社としては5,000万円分の仕事をしたのに、売上が4,500万円ということは500万円の損失となるわけです。
売掛金の金額が大きくなるほど、損失も大きくなりますので、その点は十分に理解した上で利用するようにしましょう。
売掛金全額をファクタリングできないケースもある
ファクタリングと聞くと、売掛金を早期に現金化できるシステムと考えている方が多いかと思います。しかし、売掛金全額が必ずファクタリングできるというわけではありません。もちろん手数料の支払いは必須ですし、それ以外にもファクタリング対象金額に影響する要素が存在します。そんな要素に関して次の項で解説していきましょう。
ファクタリングで調達できる金額の影響する要素
ファクタリングには限度額がないため、高額の売掛金でも申し込みは可能です。しかし、申込んだ売掛金の全額がファクタリングの対象とならないケースもあります。そこで、ファクタリングで調達できる金額に影響を与える要素を3つ解説していきましょう。
手数料
手数料はファクタリング会社にとっての「儲け」の部分ですので、手数料なしという契約はあり得ません。手数料には相場があり、2社間ファクタリングの場合は10~30%程度、3社間ファクタリングの場合1~9%程度といわれています。
ただし、この手数料に関して細かく規制する法律は存在しません。ファクタリング契約である債権譲渡契約は自由契約とされており、契約する両者が納得していれば、金額も手数料も自由に設定できる契約です。
つまり、手数料の相場はあるものの、現実にはファクタリング会社が個々の判断基準で設定しますので、同じ売掛債権を持ち込んでもファクタリング会社によって手数料に差が出てくるということになります。
この手数料はファクタリング対象金額から差し引かれますので、調達金額に影響する大きな部分といえます。
掛け目
掛け目とは、ファクタリング会社が設定する数値です。売掛金の何%分をファクタリング対象とするのかを定めた数値であり、相場として70~90%程度とされています。すべてのファクタリング会社が、すべての売掛債権に関して設定しているわけではありませんが、設定されている場合は、売掛金の一部はファクタリング対象外となります。
与信限度額
与信限度額とは、審査の結果ファクタリング会社が設定する限度額です。ファクタリングにおいて重要なのは、譲渡された売掛金が支払われるかどうかという点です。そのため、ファクタリング審査では、申し込んだ企業以上に取引先企業に関して細かく与信調査が行われます。
与信調査は取引先企業の経営規模や資産状況、さらに申し込み企業との取引実績などを中心に行われ、その結果、ファクタリング対象金額が決まります。
ここまで紹介した3つの要素を考え、実例で調達可能金額を紹介していきましょう。例として挙げる条件は以下の通りとします。
- 売掛金 5,000万円
- 手数料 10%
- 掛け目 80%
- 与信限度額 3,000万円
まず、与信限度額が3,000万円ですので、この金額を超える部分はファクタリングの対象外となります。5,000万円の売掛金に対し掛け目が80%ですので、ここだけ計算すれば4,000万円分がファクタリング対象となりますが、与信限度額が3,000万円ですので、ファクタリング対象金額は3,000万円です。さらに手数料が10%ですので、この分を差し引いた2,700万円が調達可能金額という計算になります。
5,000万円の売掛金に対し、実際に調達できる金額は2,700万円まで下がりますので、高額の売掛金でファクタリングを申込む場合は、ファクタリング会社がどのような契約条件を提示するのかしっかり確認の上契約を結ぶのが重要といえるでしょう。
ファクタリングを上手に活用するには
ファクタリングは上手に活用することで自社のキャッシュフローを改善したり、急な出費に対応できるようになるサービスです。特に高額の売掛金をファクタリングする場合は、しっかりとファクタリングの仕組みを理解して利用することが求められます。そんな上手な活用法のポイントを紹介しましょう。
必要な金額を見極めて調達する
ファクタリングでは申し込む売掛債権の売掛金額だけではなく、実際に調達できる金額を想定して利用するのが重要です。また、手元の現金は多い方が良いと必要以上の売掛金で申し込むのもおすすめしません。
ファクタリングを利用する以上手数料の支払いは必須です。その手数料はファクタリング対象金額に対して、%で決まります。より高額な売掛金をファクタリングすれば、その分手数料の金額は大きくなり、自社の損失も大きくなってしまいます。
ファクタリングを利用するタイミングで、必要最低限の金額が手元に入るよう、適正な金額で利用することを意識しましょう。
複数のファクタリング会社に相見積もりを出してもらう
ファクタリングの契約条件に関しては、ファクタリング会社が独自に設定しています。そのため同じ売掛債権でも、利用するファクタリング会社によって手数料や掛け目といった契約条件にも差が出るのが一般的です。
そこでファクタリングを利用する場合は、複数のファクタリング会社に申し込み、契約条件を提示してもらうのがポイントといえます。多くのファクタリング会社は、申し込みから審査、そして条件提示まで無料で対応していますので、この部分を活用しましょう。
複数のファクタリング会社から相見積もりを取ることで、より自社に有利な条件で契約できるファクタリング会社が見つかるはずです。
相見積もりを取る場合、間違っても複数社と同じ売掛債権で契約しないように注意してください。1つの債権を複数社に譲渡するのは債権の二重譲渡となり犯罪行為です。場合によっては刑事罰が与えられることもありますので、申し込みは1社に絞るようにしましょう。
まとめ
ファクタリング契約には限度額というものがありません。理論上はどのような高額の売掛金であってもファクタリングを利用することは可能です。
ただし、利用するファクタリング会社によって、対応できる上限金額を設定しているケースがありますので、手元にある売掛債権が対応金額内に収まっているかどうかをしっかりとチェックしてから申込みましょう。