
銀行融資などでは、企業の規模や経営状況などに応じて借入可能額が決まります。なので中小企業やスタートアップ、個人事業主などの場合は高額融資を受けられないこともあるでしょう。
では、ファクタリングで調達できる資金に限度額はあるのでしょうか?
ファクタリングの限度額は売掛債権の金額次第
ファクタリングは企業の規模などで調達できる金額に上限が設定されることはありません。
ファクタリングの限度額は常に売掛債権の金額-手数料、それだけですから小規模事業者であっても売掛債権の金額によっては高額資金を調達することも可能です。
反対に、売掛債権が手元になければ、例えどんな大企業でもファクタリングという手段は使えません。
掛目と手数料を確認しよう
上限は債権の金額ですが、ファクタリングではその売掛債権を何%で買い取るかという掛目と、さらにそこから引かれる手数料が存在します。
掛目は、売掛債権の信用度が高くファクタリング会社から見た回収リスクが低いと100%になることもあるため、ファクタリングの説明では往々にして省かれることが多いのですが、売掛先の信用次第では8割掛け、7割掛けになってしまうことも。
この掛目と手数料がどれだけになるかはファクタリング会社によりけりですが、掛目の相場は70~100%と覚えておくとよいでしょう。
例えばここに200万円の売掛債権があり、これをファクタリングに利用するとします。
ファクタリング会社が掛目80%、手数料10%で買い取ってくれた場合、
手数料:160万×10%=16万
早期に調達できる資金:160万-16万=144万円 ということになります。
ちなみに残った売掛金(200万-160万=40万)は保証金の役割を果たします。
2社間ファクタリングでは利用者が売掛債権を売却したことを売掛先が知ることはできませんので、支払期日になると利用者に売掛金が支払われます。
利用者がファクタリング会社にこの売掛金を支払うと、保証金となった40万円が返却されます。
ですので、きちんと契約を履行すれば、目減りする金額は手数料分のみということになります。
手数料の安いファクタリング会社を見つけることができれば、目減りする金額をさらに減らすことができるというわけですね。
手数料の相場は契約タイプで変わる
ファクタリングの手数料は特にこれといった制限もなく、ファクタリング会社が売掛債権の回収リスクに応じて自由に設定するものですが、大まかな相場は存在します。
一般的なファクタリングは買取型ファクタリングとも言われ、誰と誰が契約を結ぶかによってさらに次の二つに分類され、手数料も変化します。
2社間ファクタリング
利用者とファクタリング会社の2社間で契約します。
次に挙げる3社間ファクタリングよりもファクタリング会社側の債権回収におけるリスクが高いため、手数料は高めに設定されることが多く、相場として8~20%となります。
3社間ファクタリング
利用者とファクタリング会社、+売掛先の3社間で契約します。
売掛金が売掛先からファクタリング会社に直接支払われるため回収リスクが低く、手数料は1~9%とかなり低くなります。
様々な種類のファクタリング
一般的にファクタリングと言われているのは買取型ファクタリングの中でも売掛債権を(発行済みの請求書を元にして)買い取る形ですが、ファクタリングには他にもいくつか種類があります。
中には特定の業種を得意とするファクタリング会社もありますから、会社選びの参考として頭の隅に置いておくといいかもしれません。
将来債権ファクタリング
別名、注文書ファクタリングとも言われ、請求書発行前の注文書の段階でも買取可能とする新しいファクタリングの形です。
2020年の民法改正で将来債権によるファクタリングが公に認められて以降、正式に取り扱うファクタリング会社が増えました。
保証型ファクタリングは、買取型のように短期間での資金調達を目的としたものではなく、
どちらかというと保険に近い形態のファクタリングです。
取引先の倒産など、不測の事態により売掛金が回収できなくなる場合に備えて、あらかじめファクタリング会社に保証料を支払って売掛金の何割かを保証してもらうサービスです。
代表的な保証型ファクタリングとして国際ファクタリングがあります。
海外の企業と取引する際に利用され、海外のファクタリング会社とも契約する4社間ファクタリングとなるのが特徴です。
保証型ファクタリングの一種ではありますが、かなり特殊で複雑な仕組みのため時には短期間での資金化を行うこともあり、契約内容次第といったところです。
一括ファクタリング
一括ファクタリングで契約の主体となるのは他のファクタリングでいうところの売掛先企業です。
仕組みは買取型の3社間ファクタリングですが、売掛先が従来の手形取引などによる手間を省くため主体となってファクタリング契約を結ぶものです。
業界特化型のファクタリング
買取型の中には業界特有の契約形態があり、これを専門に取り扱うファクタリング会社もあります。最もわかりやすい例として医療ファクタリングが挙げられます。
医療ファクタリングは診療報酬ファクタリングとも言われ、クリニックなどの医療機関が受け取るまでにおよそ2~3か月かかる診療報酬をファクタリングによって早期に現金化できるサービスです。医療機関、国保あるいは社保、ファクタリング会社の3社間ファクタリングのみで取り扱われる契約です。
複数の売掛債権をまとめて売却することも
残念なことに、将来債権ファクタリングは対応しているファクタリング会社の数がまだそれほど多くありません。
基本的には売掛債権がなければファクタリングは利用できないということになるのですが、ひとつひとつの売掛債権が少額だ、というケースでは複数の売掛債権をまとめて売却するといった方法を使うことも可能です。
売掛金が大きい場合の注意点
ファクタリング自体には限度額はありませんが、ファクタリング会社にも傾向があり、少額債権の買取を得意としている会社では高額債権は買い取ってもらえないとうこともあり得ます。
売掛金が大きい場合、ファクタリング会社が高額債権の買取にも対応しているか確認しておきましょう。
買取限度額を設定しているファクタリング会社もある
利用を検討しているファクタリング会社が高額債権も取り扱っているかどうかは、その会社の公式サイトやファクタリング会社比較サイトなどをチェックするとよいでしょう。
例えば少額債権の買取を得意としているファクタリング会社は、下限の設定はなくても上限は設けており、実質高額債権は受け付けていないということもよくあります。
逆に高額債権を主に取り扱っている会社は少額債権に対応していないことも多く、下限設定が記載されていないが少額での利用は断られた、なんていうことも。
気になっているファクタリング会社の情報にそうした限度設定が明記されていないときは、その会社の取引実績を確認することで対応している金額の範囲をある程度絞ることができます。
高額債権の買取可能なファクタリング会社を探そう
では、高額債権の買取可能なファクタリング会社をいくつかご紹介しましょう。
ここでは個人事業主に対応しているかどうかと限度額のみを記載していますので、気になったファクタリング会社の詳細は各公式サイトでご確認ください。
10,000万円までの高額債権の買取に対応しているファクタリング会社
えんナビ
priority
個人事業主:×
買取限度額 下:50万円~ 上:~5,000万円
トップ・マネジメント
priority
個人事業主:〇
買取限度額 下:30万円~ 上:~10,000万円
ファクタリングのトライ
priority
個人事業主:〇
買取限度額 下:10万円~ 上:~5,000万円
https://factoring-try-sko.co.jp
ベストファクター
priority
個人事業主:〇
買取限度額 下:30万円~ 上:~10,000万円
ワイズコーポレーション
priority
個人事業主:〇
買取限度額 下:50万円~ 上:~5,000万円
10,000万円以上の高額債権の買取に対応しているファクタリング会社
アクセルファクター
priority
個人事業主:〇
買取限度額 下:30万円~ 上:無
株式会社JTC
priority
個人事業主:×
買取限度額 下:100万円~ 上:無
QuQuMo Online
priority
個人事業主:〇
買取限度額 下:無 上:無
PMG
priority
個人事業主:×
買取限度額 下:無 上:~20,000万円
上にご紹介したファクタリング会社の情報でもおわかりいただけるとおり、高額債権の買取を得意とするファクタリング会社は、ある程度の規模の企業との契約を前提としており、個人事業主に対応していないことがあります。
手持ちの高額債権をファクタリングに利用しようと考えている個人事業主の方は、検討中のファクタリング会社が個人にも対応しているか問い合わせるなどして事前に確認しておきましょう。
どのファクタリング会社にするかはまだ全く決めていないという場合は、比較サイトなどでも手軽に調べられますよ。
迷ったら一括査定サイトを活用しよう
自分で調べるといっても、ファクタリング会社の数も増え続けている今、本当に自社のニーズに合致するサービスを探し当てるのは至難の業です。
利用する売掛債権の目星がついているなら、一括査定サイトに申し込んでみるという方法もあります。
一括査定サイトでは、売却予定の売掛債権に対して幾らで買取可能かを複数のファクタリング会社が提示してくれます。
初めてファクタリングを利用するといったケースでもある程度の相場感をつかむことができるので、以降の契約にも役立ちます。
まとめ
ファクタリングは銀行融資と違い事業規模による限度額が存在しません。中小企業や個人事業主であっても高額債権を売却したり、売掛債権を複数まとめて買い取ってもらうことも可能です。
しかし、そのためには高額債権の買取に対応しているファクタリング会社を探さないといけません。
個人事業主の方は高額債権の買取に加えて個人事業主の両方に対応しているファクタリグン会社を見つける必要がありますね。
この記事で高額債権にも対応しているファクタリング会社をいくつかご紹介しましたが、条件次第では別のもっと適切な会社があるかもしれません。
まだ目星をつけていないという方はもちろん、自分に合った条件は何か再確認しておきたい方も一度一括査定サイトで自社の売掛債権をチェックしてみるのもいいかもしれませんね。