最近テレビの公共放送などでも盛んに取り上げられるようになったファクタリング。商工会などが紹介しているケースもあります。
しかし知名度はまだまだ高くないのが現状で、一部の経営者のみが好んで使っているといった現状があります。ファクタリングは、売掛債権を売却することにより、手数料を差し引いてすぐにでも現金を手に入れられるサービスです。
ここで重要なのは、ファクタリングは融資を受けたり資金を借り入れることではない、という部分です。
ファクタリングはあくまでも売買契約となりますから、特段会社の帳面上借り入れが増えるといったことにも当たりません。
会社が持っている金券類を金券ショップに持ち込んで換金するのと、ほぼスキーム的にも内容的にも変わらないのが魅力的な部分です。
この他にも様々な部分においてファクタリングは魅力的な部分がありますが、こちらは次の章で詳しくご紹介致します。
いずれにしてもファクタリングはお金を借り入れるという行動ではありませんので、スムーズに、そして経営者の精神衛生上も比較的良好な状態で資金調達が可能なスキームと言えます。
このことをよく理解し、念頭に置いた上でファクタリングの知識を深めていくことは、経営上の様々な選択肢が広がっていくということに他ならないわけです。ただし、実際にファクタリングを行う際には手数料などのリスクを加味し、契約内容を十分に確認するようにしましょう。
- ■ファクタリングって、なんで便利なの?
- ■ファクタリングできる条件は?
- ■ファクタリングって、だいたい、いくらくらいの利用が多いの?
- ■ファクタリングの合法性
- ■ファクタリングとビジネスローンの違いは?
- ■ファクタリングと手形割引の違いは?
- ■ファクタリングできる主な業種は?
- ■2社間・3者間ファクタリングとは?
- 売掛債権を売却する:2社間ファクタリング編
- 売掛債権を売却する:3社間ファクタリング編
- ■建設業におけるファクタリングのメリットは?
- ■建設業におけるファクタリングのデメリットは?
- ■介護事業者におけるファクタリングのメリットは?
- ■介護事業者におけるファクタリングのデメリットは?
- ■ベンチャーにおけるファクタリング利用のメリットは?
- ■ベンチャーにおけるファクタリングのデメリットは?
- ■ファクタリングに申し込む流れは?
- ■ファクタリングの申し込みに必要な書類は?
■ファクタリングって、なんで便利なの?
ファクタリングの便利さは、現金をすぐに手にできるという点にあります。
売掛債権は、手元に現金が入ってくるまで数か月かかることも少なくありません。
その間、材料費の支払いや従業員の給料などを支払う必要に迫られることも枚挙に暇がないことでしょう。
手元に資金があれば支払うべき時に適切に支払い、売掛金が入るまで企業として耐えることは可能です。しかし現実はそう甘くはなく、様々な経営上の事情によってこれが叶わず、いわゆる自転車操業になってしまっているケースもあるでしょう。
そんな時、ファクタリングを行えば手数料を差し引いた売掛債権がすぐに入るので、先ほど解説のとおり、いわゆる運転資金をスムーズに調達できます。
資金に余裕がない開業したばかりの状態や設備投資などを行って手持ち資金がないような状況の時にファクタリングを行うことで円滑な経営が可能になるのです。
そういった救世主的な資金調達法になりうる方法であることからファクタリングは便利と言われることが多くあります。
また、ファクタリングを手掛ける企業はスピードを売りにしているところも多くあり、そういった企業に相談することでより迅速な資金調達が期待できることも便利さを感じることができます。
そして、同じ運転資金の調達方法に借金がありますが、ファクタリングは借金ではなくあくまで売却です。
帳簿上も健全な経営であることがアピールでき、本格的な融資を受ける時の金融機関の印象がまるで違うという点も便利さの理由です。
この部分に大きな魅力を感じて銀行や金融機関からの融資を受けることができるにもかかわらず、ファクタリングで資金調達を行うといった方向性に進む敏腕経営者の方も近年は多くなってきました。
事実として、経営コンサルなどもこのような方法を実際に進言するケースが多く見られます。
それほどまでに金融機関からの融資はやはり重要なものであり、金融機関の評価を下げないためにも、そして今後のトータルでの資金繰りを考えてもファクタリングを利用する経営者が近年急増中というわけです。
■ファクタリングできる条件は?
ファクタリングを利用する条件はファクタリング会社ごとに定められていますが、大枠についてはどの会社でも共通しています。
まず事業状況として健全な経営や事業をおこなっていること、ファクタリングに使用できる売掛金の債権を持っていることが必須条件です。創立してから何年か従業員が何人いるか、ベンチャー企業かどうかといった点は問わないのが一般的になっています。
ただし、ファクタリング会社によっては法人化した会社のみを対象としていて、個人事業主は利用できないといった対応をしていることもあるので注意しましょう。
また、売掛債権については今までの実績と今後の継続性があることが求められるのが通常です。利用条件としては明記されていない場合がほとんどではあるものの、申し込みのときに関連書類を提出して審査を受けることになります。
ファクタリング会社としてはお金を取り返すことが必要なので、確かに今後も債権が継続して債権回収が可能というのが重要なのです。その書類をきちんと保管してあって提出できることも条件と考えらえるでしょう。
この他には買い取ってもらえる金額が条件として定められていることが多く、30万円程度から数千万円という枠になっている会社が多くなっています。
■ファクタリングって、だいたい、いくらくらいの利用が多いの?
事業用ファクタリングの場合、限度額が気になるところですが、基本的には売掛債権の金額の合計金額もしくはそれに極めて近い金額まで利用が可能です。というのも基本的にファクタリングは縦線ご紹介の通り融資ではありませんので、与信枠の設定というものがそもそもスキームとして必要はありません。
あくまでも債権の売買契約となりますので、たとえ会社自体の与信力が低くとも、売掛債権の金額が適切であり、また売掛先の与信状態が良好であれば、その金額に肉薄するほどの資金をファクタリングで調達することは不可能ではないというわけです。
具体的な金額としては、おおよそファクタリング会社の手数料などを考えても、50万円程度から申し込み可能というケースが多く見られます。
一方、上限額まで行くと即日で数千万円~1億円以上のファクタリングを可能としている大手ファクタリング業者も存在します。同様に、少額の利用についても可能なファクタリング会社そのものが存在します。
ただし、大手ファクタリング会社では総額には対応しきれませんし、反対もまた然りということで、今回必要な金額に応じてファクタリング会社を選ぶのは極めて重要なことと言えるでしょう。
どのようなファクタリング会社に当たれば良いか皆目検討もつかず、またコネクションもないといった場合には、ファクタリングの一括査定サービスなどを利用することにより適切なファクタリング会社と巡り合える可能性が急激にアップします。
■ファクタリングの合法性
ファクタリングにはきちんとした合法性があります。
これは民法に基づく行為として法律に合致した行為と言えるからです。
業者と事業者とで行う二社間ファクタリングと、業者と取引先、事業者の三者で行う三社間ファクタリングのケースで説明していきます。
まず二社間ファクタリングは、民法第555条(売買契約)を根拠にすることが可能です。
これは、「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」というもので、売掛金の債権を売るのに取引先の同意はいらないということを意味します。
このように財産権とも言える売掛債権を渡しても良いこと、取引先の同意は不要という二点について合法なのです。
三社間ファクタリングも触れていきましょう。
これは、民法第466条(債権の譲渡性)と第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)が根拠になります。
第466条は、「1.債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。2.(直接関係ない条文なので略)」です。
この意味は、取引先の同意がなくともファクタリング業者と事業者との同意だけでファクタリングができるということになります。
第467条は、「1.指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。2.直接関係ない条文なので略」です。
これは簡単に言えば、きちんと手続きをすればファクタリングができるということを意味します。
このように法律で容認されているのでファクタリングは合法です。
■ファクタリングとビジネスローンの違いは?
ファクタリングとビジネスローンの違いは、一言で言えば資産の売却か借金かの違いです。
ファクタリングは将来手に入る収入の権利(売掛債権)という企業や事業者の資産を業者に買い取ってもらう、売却するといった行為になります。
一方、ビジネスローンは担保を用意しお金を借りることです(無担保でも可能な場合もある)。
一見共にすぐ現金が入る部分は同じに見えますが、このように売ったのと借りたのとでは大きな違いと言えます。極端に言えば、リサイクルショップにイスを売ってお金を受け取るのと、消費者金融からお金を借りるのと同じく位の違いがあるのです。
この違いは、帳簿にも大きな差となって表れます。
ファクタリングを利用した場合は売却益のような扱いで帳簿に記載されますが、ビジネスローンを使った場合は文字通り債務として記載されるのです。
この記載のされ方も大きな差になり、同じ額を資金調達したとしても、帳簿上はファクタリングを利用した方が遥かに健全な経営状況に見せることができます。
こういった点で、もし大規模な融資を受ける場合、頻繁にビジネスローンを使っている場合とファクタリングを使っている場合とでは、ファクタリングを使っている方が審査に通りやすいというメリットもあります。
ファクタリングの2社間取引って何?どこと契約することになるの?
■ファクタリングと手形割引の違いは?
将来得られる売掛金を元手に資金を調達する方法として認知されている手形割引とファクタリング(売掛金債権譲渡)ですが、売掛金が入金される前に資金化をするという目的は同じでもそこには明らかな違いが2つあります。
まず一つは、買取後に生じる支払い責任範囲が異なり、リスクの有無が分かれるということです。
ファクタリングは債権の買取にあたるため、一度売却をしてしまえば万が一売掛先の会社が未払いや経営破綻を起こしたとしてもそれを保証する責任義務はありません。
このことからファクタリングは償還請求権が無いノンリコースローンと呼ばれます。
一方、手形割引は融資契約にあたり、金融機関や手形割引業者に譲渡した約束手形はあくまでも担保に過ぎず、振出先が資金を支払えず不渡りになってしまえば手形割引依頼側にも保証責任(買戻し義務)が生じます。
それに関連してあげられる2つめの違いが審査基準の程度です。
手形割引の場合は振出人が未払いを起こした場合に割引依頼側が買い戻しをしなければならないため、最低限その買い戻し能力があるかどうかの審査基準が厳しいことが一般的です。
つまり、債務超過や税金未払い、赤字決算の財務諸表上の負の要素が多いと手形割引による融資は厳しくなります。
対して、ファクタリングでは売掛金債権そのものの信頼性に重点が置かれて審査が行われます。依頼側の会社の財務状況次第ではなく確実に資金を回収できる売掛債権なのかに焦点が置かれます。
■ファクタリングできる主な業種は?
ファクタリングを利用するには、安定して健全な事業を行っていて売掛金が存在していることが必要です。どの業種でも活用が進められていますが、昔から利用事例が多いのは建築設計業です。
建築の契約を取れれば大きな金額の売掛債権が発生し、竣工して引き渡すと入金を受けられます。業績がしっかりとしていればきちんと納品できる可能性が高いことから審査を通りやすい業種です。
一方、IT業界でもファクタリングを利用するケースが増えています。受託業務を中心にしている企業でファクタリングを使っていることが多く、数十万円から数百万円の契約が利用されています。これも納品によって支払いを受けられるので業績が安定している企業なら安心して債権を買い取ることができるのです。
医療業界や介護業界についてもファクタリングを利用しやすくなっています。診療報酬や介護報酬は後から入金されるので資金調達が難しくなりがちでファクタリングを活用する施設も増えてきました。診療報酬や介護報酬は国が倒れない限りは確実に回収できるという点で、ファクタリングの審査はよく通ります。
このように予定していた入金が確実に入ると期待できる業種ほどファクタリングは利用しやすくなっています。
■2社間・3者間ファクタリングとは?
ファクタリングには、2つの種類があります。大きく分けてこの後ご紹介する2社間ファクタリングと、3社間ファクタリングです。それぞれ違いがあり、またファクタリングの成約の際に生じる手数料にも大きな違いがあります。
状況に応じて使い分けるべき2つのファクタリングタイプ、それぞれについて詳しくご説明いたします。
売掛債権を売却する:2社間ファクタリング編
売掛債権を現金に換える手段に「ファクタリング」がありますが、ファクタリングには2社間と3社間で行われるものがあります。
ファクタリングというのは簡単に言うと、「売掛債権(売掛金)」をファクタリング業者に売却して現金に換金することです。2社間ファクタリングとは、売掛債権を売却したい事業主とファクタリング業者の2社間で契約を結びます。
契約が結ばれると、ファクタリング業社は売掛債権の買取額を依頼事業主に支払いますが、その際に買取手数料が差し引かれます。
売却によって、売掛債権は当然ファクタリング業社が所有することになりますが、契約内容によってはファクタリング業社が売掛先への回収作業を行わない場合もあります。
実は、売掛債権の支払期日が来ると、依頼事業主が売掛先から売掛代金を回収し、その金額をそのままファクタリング業社に入金します。
なお、2社間ファクタリングでは通常、法務局での「債権譲渡登記」が行われます。
債権譲渡登記とは、売掛債権の権利が依頼事業主からファクタリング業社に移転したということを法的に明確にするものです。登記によって、ファクタリング業社は第三者に対して債権の所有を主張することができます。
ちなみに、2社間ファクタリングでは、依頼事業主が売掛先から回収した代金を使い込むというリスクがあるため、手数料が高めになっています。
売掛債権を売却する:3社間ファクタリング編
ファクタリングの3社間取引は、取引先(債権先)と事業者、ファクタリング業者で約束を行って売掛債権の回収者が変わることに同意する契約です。
文字通り、取引先にも支払先が変わることを伝えるので、相手(債権先)にもばれてしまいます。これは相手先にこちらが資金繰りに何かしらの問題を抱えているということや回収者が変わるという不信感を与えてしまうというデメリットがあります。
しかし、事業者から見るとデメリットだけではなく当然メリットもあります。
それは手数料が割安になることです。
ファクタリング業者からすれば回収先の詳細が分かるので、より確実な回収が期待できます。また、手数料を取引先にも請求することも可能です。
こういった点から、リスクが少なくなることや手数料が両者から徴収できるため、事業者に請求する手数料を安めの設定にしても利益が上がりやすいというメリットです。
相手にバレるのはデメリットですが、例えば相手先が倒産しそうで売掛債権の回収が難しい場合、代行してファクタリング業者が回収してくれるということを考えると、こういったケースで利用することでより確実に売り上げを手にできるというのは大きな魅力と言えるのではないでしょうか。
■建設業におけるファクタリングのメリットは?
建設業におけるファクタリングのメリットは、支払いが多いので早めに現金が手に入れられる、手形の発行コストを削減できる(人件費・印紙代)と言ったものが代表です。
建設業は、材料費や人件費など莫大な金額のお金が動きます。
そのためすぐに用意できない金額になることも多いことから手形によって支払いを遅らせることも少なくありません。
それは当然売掛債権がたくさん発生しやすい業界であることを意味します。
つまり業界の風習としてお金がすぐに手に入らないという状況であり売り上げが不安定ということです。
しかし、ファクタリングを利用すれば、すぐに現金を手にすることが可能になります。
建設業界は入ってくる金額も多いのですが、出ていく金額や機会も多いのが特徴です。そのため、すぐに支払いに迫られることも少なくありません。
そんな時、ファクタリングを利用すればすぐに現金が入るので、自社の運転資金に回して円滑な経営ができるというメリットがあります。
最後が手形の発行コストを削減できる(人件費・印紙代)ことです。
意外と手形を発行するにはコストがかかり、その費用も積み重なると高額なものになります。
ファクタリングを行ってしまえば、逐次手形発行をするコストが発生することはありません。これは地味なようですが、大きなメリットです。
■建設業におけるファクタリングのデメリットは?
建設業ではファクタリングの成功事例が多いので使おうという考え方を持つのももっともなことですが、デメリットもあるのは確かです。
建設業では顧客から請負の契約ができれば売掛金が発生しますが、施工を終えて引き渡さないと現金は調達できないので資金繰りが問題になりがちです。
その対策として売掛債権でファクタリングを利用して現金調達する方法が使われています。このデメリットは慢性化が進んでしまって事業利益が小さくなってしまうことです。
ファクタリングを利用しなければならないということは資金的に見ると建設業を営むのに十分な金額がないことを意味します。
今回だけはファクタリングで調達しようとしたとしても、次の契約を手に入れたときにもやはり資金不足でファクタリングを利用することになりがちです。
ファクタリングは短期間で資金調達ができるのはメリットですが、手数料が高くて登記費用も発生するという問題があります。
そのため、毎回利用するようになってしまうと実質的には事業利益を減らす原因になってしまうのです。
どこかのタイミングでファクタリングを使う状況から脱却しないとなかなか企業として成長することができないので注意しなければなりません。
また、基本的には1%-20%程度の手数料が取られる点にも留意が必要です。
■介護事業者におけるファクタリングのメリットは?
介護事業者におけるファクタリングのメリットは、2つあります。
一つ目に、会社の資金繰りが助かる点が挙げられます。
介護事業は、政府が定める介護報酬によって損益分岐点が左右されますし、国民から徴収する介護保険料によって介護保険制度が成り立っているため、介護報酬が高額となることはありません。そのため、多くの介護事業者の利益率は低く、赤字経営となっている事業者も少なくありません。
このため、銀行などの金融機関に運転資金の融資を申し込んでも断られるケースが珍しくないことから、ファクタリングによって現金を調達し、資金繰りを円滑化できるメリットは大きいです。
二つ目のメリットとしては、債権回収を自分で行わなくても済む点が挙げられます。
具体的には、介護付有料老人ホームのケースが挙げられます。
入居者数が100人規模で、毎月20万円以上の入居費用を支払う必要のある介護付有料老人ホームの場合、常に3人程度の滞納者が存在します。もちろん入居者自身が滞納しているのではなく、入居者の家族が毎月の入居費用の支払いを滞納しているのです。
ところが、介護事業者には債権回収のノウハウが乏しく、滞納されている入居費用の回収が円滑に運ばないケースが珍しくありません。
このため、ファクタリングを利用して債権を売却するほうが介護事業者にとっては効率よく事業運営できるメリットがあるのです。
■介護事業者におけるファクタリングのデメリットは?
介護事業者におけるファクタリングにもデメリットがあります。
それは、ファクタリングできるだけの報酬や債権が存在しない場合にファクタリングがそもそも利用できないというポイントです。ファクタリングはあくまでも融資ではなく、申込みの段階で債権があることが前提条件となります。
債権が存在しない場合には、ファクタリングを行うことができないというわけです。また、介護事業者の有する債権には、利用者からの債権と、保険で賄われる債権の二つがありますが、利用者個々人から徴収すべき債権についてはファクタリングにかけることができません。
あくまでもファクタリングの相手は法人または国が定める公的機関である必要がありますので、相手が個人の場合、ファクタリングを行うことで現金を得るというスキームが利用不可能となります。
また建設業界と同様に、基本的には1%-20%程度の手数料が取られる点にも留意が必要です。
■ベンチャーにおけるファクタリング利用のメリットは?
ベンチャー企業にとって、経営を維持する資金確保は重要なテーマです。
銀行融資がうまくいかない場合に、ファクタリングを利用した資金調達の方法は便利です。
ベンチャー企業は、新たなビジネスにチャレンジする革新的な企業です。
現時点において将来性は未知数で、企業的知名度が低く信頼性も十分に確立していない面があります。そのため、銀行融資を受けようとしても断られてしまうケースもあります。
このようなリスクに対処するためには、ファクタリング会社に売掛債権を売却することで現金化する手段が有効です。
ファクタリングは、売掛金を持っているという条件に合致していれば利用できます。
ベンチャー企業の場合はいくつかの利用条件が設定されている場合もありますが、融資と比べて易しい条件です。
融資の場合は企業自体の信頼性が必要ですが、ファクタリングの場合は売掛金の信用度が問われるだけです。すでに持っている権利を現金化するだけのため、企業にとって有効な資金獲得手段になります。
ファクタリングでは、本来よりも早く現金を得ることができる点にメリットがあるため、ベンチャー企業のように、経営状態がまた不安定な会社にとって、売掛金の回収サイクルが早まることは安定した経営につながります。
万が一、取引先が倒産してしまうケースがあっても、債権をすでに売却しているため、そのリスクはファクタリング会社が被ることになります。
■ベンチャーにおけるファクタリングのデメリットは?
ベンチャー企業でファクタリングをするデメリットは事業としてのステージによって違います。
まだスタートアップ段階のベンチャーの場合には独自性を持って開発している商品やサービスに関する取引の契約ができた際に、売掛金としてファクタリングに使える可能性があります。
一方、安定期に向かう段階にあるベンチャー企業の場合には既存の商品やサービスについての売掛金をファクタリングに使うことができます。
この場合には大きなデメリットはありませんが、やはり安定期に入るまでは運転資金に困りがちなのでファクタリングを使ったことにより、本来入ってくるはずであった売上金から手数料分の目減りがあります。そのため、ここが経営上の問題・課題になるのが通例です。
また、安定経営をしていないとファクタリングに対応してくれない業者が多いため、利用したいと思ったときになかなか審査を通れずに苦労する傾向があります。
その労力を費やしたのにかなり高めの手数料を取られることになり、人件費も加味するとあまりメリットがなかったという結論に陥ることもあるというのが実態です。
また他の業界同様、基本的に1%-20%程度の手数料が取られる点に留意しましょう。
■ファクタリングに申し込む流れは?
売掛金を使ってファクタリングに申し込むときの流れは、どの業者であってもあまり大きな違いはありません。
大枠としては申し込み手続きをした後、調査と審査が行われ、金額が確定したら契約書を締結し、現金を振り込んでもらうという形になります。
まず、ファクタリング業者に問い合わせをしてヒアリングを受けるところから始まります。どのような売掛金を債権にしようとしているのかを説明して、その証拠となる書類を準備して申し込むというのが基本です。
このときに担当者からどのくらいの現金を調達できる可能性があるかについても簡単な説明を受けることができます。
このようなスキームが入っていることにより、まず銀行融資のように結果が判明するまで数週間単位でヤキモキとした気持ちを抱えたまま待つ必要がないわけです。
この辺りは一つ、大きなアドバンテージと言って良いでしょう。経営者の精神的な負担を軽減するという意味合いでは、ファクタリングは大変理にかなったスキームを採用しています。
そして、ファクタリング業者で調査と審査が行われて、この売掛債権ではこの金額を出せるという数字が通知されます。
その内容に納得できたら契約書にサインをしてお金を振り込んでもらいます。
契約の内容は2社間か3社間かによって異なり、3社間の場合には債権の譲渡についての承諾を受ける、または通知をすることが必要です。
また、ファクタリングを行う相手先に対してファクタリング利用の旨を通知する必要がある場合は、先方からの了承を得なければなりません。
先方からの了承が得られた段階でファクタリング契約が進んでいくことになりますので先方に納得してもらえるだけの材料や説得できる何かしらの資料などは用意しておくべきと言えるでしょう。
ファクタリング会社によっては、相手先の企業への説明に同席したり、また説明の際にサポートをしたりしてくれるケースもあります。この辺りは業者によってまたファクタリングを行う金額そのほか条件などによっても異なりますので、不安な場合は担当者に一度問い合わせをしておくとよろしいでしょう。
または、一括査定サービスを利用して、このような説明の場に同席して相手先に説得力のある説明をしてくれるかどうかについても、対応できるような業者をピックアップして契約を任せるという方法もあります。
いずれにしても、一括査定サービスを利用して複数のファクタリング会社の条件を確認するのは重要なことと言えるでしょう。
このような流れで申し込みから契約を経て現金を調達することが可能です。
ファクタリング業者によって調査や審査のところで手続きが必要になることもあるので、詳しくは問い合わせて確認しましょう。
■ファクタリングの申し込みに必要な書類は?
売掛債権のファクタリングを利用するときには書類がきちんと整えていられないと手続きが遅れる原因になります。ファクタリングを申し込むときに求められている書類はかなり多い場合もあるので注意しましょう。
ただし、これについては完全なる売掛債権の売買契約ということで資金を調達するわけですから、多少の事は協力的に動く必要があります。
また、ファクタリングを申し込む際の必要書類は多岐に渡るという説明を行いましたが、実際に融資を受ける際の必要書類の枚数と比べると、こちらの方がやや少なかった、というケースもあります。いずれにしても、書類関係はきちんと揃えなければ、審査も契約も進みませんのでご注意ください。
まず、商業登記簿謄本と印鑑証明書はどのような場合でも必要になります。
申込者が個人事業主の場合は、商業登記簿謄本の取り寄せが不可能となりますので、各業者から求められる個別の書類で事業体であることを証明するというスキームが必要になります。こちらも合わせて押さえておきましょう。
売掛金のファクタリングをするには確かに売掛金が発生することを示さなければなりません。
事業が確かにうまく進められていることを示すための書類として、決算書または確定申告書が求められるのが一般的です。
それに加えて、売掛金が確かに存在していることを示すために、ファクタリングに利用する売掛金について売掛企業との契約書が必要とされます。契約書だけでなく確かに取引が行われていることを示すことも求められていて、発注書や納品書、請求書についても揃えておかなければなりません。
そして、その請求に基づいて入金されたことがわかるように銀行の通帳のコピーも提出することになるのが通例です。
毎月継続的に当該の業者から入金があるということが証明できれば、一つの安心材料となりますのでファクタリング会社側でもスムーズに審査や契約作業を進めることが可能となるでしょう。
また、このようなエビデンスを複数揃えていくことにより、ファクタリング会社は安心して審査を進めることが可能となります。提出できるものについては、基本的に提出するくらいの心構えでいた方がやり取りはスムーズに進み、結果的にファクタリング申込者に対してメリットがあると言えます。
このようにして確かに売掛債権として成立でき、ファクタリング会社が現金を取り戻せると理解できるように書類を整えることが求められます。詳しくはファクタリング会社による違いもあるので問い合わせて確認を取りましょう。
このようにファクタリングはシンプルでありながらにして資金調達のスピード感が他と比べると極めて抜き出ており、スピーディーな資金調達が必要な経営者の方々の味方ということができます。
さらに、ファクタリングは借金ではありませんので信用情報などの調査も必要ありません。
また申込情報そのものが業界全体に行き届くということでもありませんので、相性の良いファクタリング会社を見つけることが何よりも重要となります。
そこで考えておきたいのは、やはり一括査定サービスなどに申し込むことにより、効率的にファクタリング会社を選定するということです。
当サービスでは、厳選した加盟ファクタリング会社の中から貴社の希望条件に最もマッチするファクタリング会社からの査定を受けるお手伝いすることができます。
まずはお手元の請求書や確定債権をご用意の上、一括査定申し込みにお進みください。ファクタリングの一括査定により効率的に契約が進みますので、予想よりも早いスピードで、経営者の方の資金的な不安は解消することでしょう。
文章・監修
事務所名:近藤会計事務所
氏名:近藤佑大
肩書:公認会計士・税理士・2級FP技能士