
「ファクタリングの支払いって分割払いできるの?できるとありがたいのだけど」
ファクタリングは、資金繰りが厳しいときに頼る資金調達手段のひとつです。もし「分割払いができれば助かる」と考える方もいるかもしれません。
ただし、ファクタリング契約において、分割払いはできません。さらに言えば、「支払い」が発生するファクタリング契約は特殊な契約を除けばありません。
その理由について詳しく解説していきます。
ファクタリングの支払いは分割払いできない
ファクタリングで支払いが発生するケースは、2社間ファクタリングの契約で、売掛金をファクタリング会社に支払うケースが考えられます。
最初に結論から書くと、ファクタリング契約で支払いが発生した場合、その支払いを分割払いにすることはできません。
その理由に関して、次の項で詳しく解説していきます。
2社間ファクタリング契約の仕組み
支払いを分割払いにできない理由を解説するために、まずは2社間ファクタリングの基本的な流れと仕組みを紹介していきます。
1)売掛債権をファクタリング会社に持ち込み審査を受ける
2)審査の結果契約条件が提示され、内容に問題がなければ契約を結ぶ
3)契約が締結されたら、ファクタリング会社から現金が振り込まれる
4)売掛金入金期日までに、取引先から売掛金が入金される
5)入金された売掛金をファクタリング会社に送金する
2社間ファクタリング契約の流れは上記のようなものとなります。この流れを理解した上で、仕組みを解説していきましょう。
契約した時点で申し込み企業は債権者ではなくなる
ファクタリング契約は「債権譲渡契約」です。この契約を結んだ時点で、持ち込んだ売掛債権の権利はファクタリング会社に譲渡され、申し込み企業は債権者ではなくなります。持ち込んだ売掛債権はファクタリング会社に所有権が移り、債権者もファクタリング会社になります。これが2社間ファクタリングの基本的な形です。
債権を譲渡した対価として、申し込み企業は売掛金から手数料などを差し引いた現金を手にすることができるわけです。ファクタリング契約を結んだ時点で、申し込み企業は債権者ではなくなるという点を理解しておきましょう。
売掛金の入金先は変更されない
2社間ファクタリングの多くの場合、債権の所有権は移行しますが、売掛債権の契約内容は変更されません。つまり、売掛金の金額も変更されませんし、入金期日もそのまま、そして売掛金を入金する口座も変更されないということになります。
売掛債権の内容が変更されないため、2社間ファクタリングは取引先に知られることなく利用できるのです。
2社間ファクタリングは多くの場合、売掛金は申し込み企業の口座に入金されるという点も理解しておきましょう。
ファクタリング会社に変わって売掛金を回収する形になる
ここまで解説した点を理解していただければ分かるかと思いますが、ファクタリングした売掛債権の所有権はファクタリング会社になるものの、入金先は申し込み企業の口座のままという事になります。
2社間ファクタリングの契約においては、債権譲渡契約と同時に、業務請負契約を結ぶのが一般的です。これはファクタリング会社から依頼を受けて、申し込み企業がある業務を請け負うという内容の契約です。請け負う業務は「売掛金回収業務」です。
支払いが分割できるかどうかという点ですが、そもそも売掛金をファクタリング業者に渡すのは「支払い」ではなく「送金」です。ファクタリング会社が受け取るべき現金を送金するわけですから、分割払いは認められないわけです。
「分割払い可能」は悪徳業者の可能性大
最終的な売掛金の送金(支払い)において、分割払いを認めているファクタリング会社は、悪徳業者である可能性が高いと言えます。上記の通り、そもそも支払いではなく、ファクタリング会社が受け取るべき金額を送金するものですので、分割払いできるようなものではないからです。
なぜ、悪徳業者である可能性が高くなるのかという点を解説しましょう。
分割払い=貸金契約となる理由
2社間ファクタリングにおける売掛金の送金は、本来ファクタリング会社が受け取るべき金額を送金するというものです。この送金を分割払いとするということは、考え方を変えるとファクタリング会社からお金を借り入れるという形になります。
ファクタリング会社からお金を借りるということは、貸金契約を結んでいるということです。ファクタリングはあくまでも債権譲渡契約であり、貸金契約ではありません。ファクタリング契約と称して実質貸金契約を結ぶというのであれば、そのファクタリング会社は悪徳業者ということになります。
貸金契約は貸金業者登録をしている業者しか結べない
貸金契約に関しては、各自治体に貸金業者登録を行っている業者しか結ぶことはできません。
一般的にファクタリング会社は、債権譲渡契約を結ぶ業者ですので、貸金業者登録は不要です。もちろん登録をしているファクタリング会社も存在しますが、貸金業者登録をしている業者であっても、貸金契約を結ぶ場合は貸金業法や利息制限法といった法律を遵守した上で、しっかりと貸金契約であることが分かるように契約をしなければいけません。
ファクタリング契約として貸金契約を結ぶようなファクタリング会社は、間違いなく悪徳業者と言えます。
ファクタリング会社を騙った悪徳業者とは?
ファクタリング会社は近年増加傾向にあります。そういった状況の中で、残念ですが悪徳業者が増えているのも事実です。
上記の通り、ファクタリング会社を開業する場合、貸金業者登録は不要です。また、取得が必要な資格や、認可というものは一切なく、極端に言ってしまえば誰でも比較的開業しやすい業種となっています。そのため悪徳業者が入り込みやすい業界でもあるわけです。
ファクタリング会社として看板を出し、実際に結ぶ契約は違法な契約という悪徳ファクタリング会社が存在します。
法律の上限を超える金利での貸し付けを行う
実際の悪徳業者の手口としては、まず違法な金利で貸金契約を結ぶ、いわゆる「闇金」のような行為が挙げられます。
契約書の上ではあくまでもファクタリング契約に見せかけて、違法な貸金契約を結ぶケースもありますし、ファクタリングを申込んできた方を言いくるめて、違法な貸金契約を結ぶというケースもあり、契約をしてしまうと大きな損害を被るケースが少なくありません。
厳しい取り立てで取引先にも迷惑をかける可能性がある
悪徳業者と契約してしまうと、後に厳しい取り立てが行われることが考えられます。自社の業務に影響が出るような取り立てはもちろん、場合によっては取引先にも影響が出て、取引先に迷惑をかけてしまうかもしれません。
取引先としても、悪徳金融業者を利用するような企業との取引を積極的に行いたいとは考えないでしょう。結果取引先が減り、最悪の場合は倒産ということになるでしょう。
悪徳業者の申込んだ時点で危険
悪徳業者の場合、契約を結ぶ前に気づいたとしても手遅れの可能性が考えられます。申し込みをした時点で、申し込んだ企業は資金繰りに困っている企業であるということが悪徳業者に伝わります。悪徳業者の中には、こうした資金繰りが厳しい企業のデータをまとめて、ほかの悪徳業者に売り渡すというケースが少なくありません。
契約まで至らなかったとしても、企業の情報が悪徳業者に伝わると、その後会社に多くの悪徳業者から連絡が入るなど、業務上好ましくない状況に陥る可能性があります。
ファクタリング会社選びにおいて、悪徳業者には近寄らないのが重要です。そのためにもファクタリングという資金調達法の仕組みを十分理解しておくことが重要といえるでしょう。
悪徳業者を見抜くポイント
ファクタリング会社選びで、避けるべきが悪徳業者です。では、そんな悪徳業者を見抜くためのポイントをいくつか紹介していきましょう。
あり得ない宣伝文句を謳っている
悪徳業者はできるだけ労力をかけずに顧客を獲得しようと考えます。そのためのよく使われるのが、あり得ない宣伝文句です。
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審査なし
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審査通過率100%
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必要書類は身分証明書のみ
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分割支払い対応
あり得ない宣伝文句で多いのがやはり審査に関してです。ファクタリング契約の前には必ず審査が行われます。ファクタリング会社は審査の結果、契約の条件を決定し提示しますので、そもそも審査なしということはあり得ません。また、審査を行う以上、通過率100%ということもあり得ないといえます。
さらに必要書類が極端に少なかったり、この記事でも触れた売掛金の分割送金対応などは、どれも申し込み企業にとっては魅力的な文言ですが、まずあり得ない条件と言えます。
利用者にとって魅力的な、あり得ない条件で契約すると謳っているファクタリング会社は、ほぼ間違いなく悪徳業者ですので、連絡しないようにしてください。
会社の住所に実体がない
新しいファクタリング会社に申込む場合、必ず事前に電話番号と住所をチェックしておきましょう。上でも触れましたが、悪徳業者はできるだけ手間と費用をかけずに顧客を獲得しようとしています。そのため事務所を持たないケースも少なくありません。また、持っていたとしてもシェアオフィスであったり、到底ファクタリング会社が入ってるとは思えないようなマンションやアパートの一室というケースもあります。
電話番号に関してもチェックしましょう。ひどい場合は携帯電話の電話番号で営業しているケースもありますが、固定電話を引いていないという時点でまず信用できません。
ネット上で検索すれば、電話番号や社名、住所などでその会社の口コミ情報が見つかるケースも少なくありません。事前にしっかり情報を集め、怪しいポイントがないかどうかをチェックしてから連絡するようにしましょう。
まとめ
ファクタリング契約における支払いに関しては、原則分割払いは認められていません。分割払いに対応しているファクタリング会社は、悪徳業者である可能性が非常に高いと言えます。
悪徳業者は関わるだけでも大きなダメージを受ける可能性がありますので、絶対に近づかないようにしましょう。事前にしっかり情報をチェックし、信頼できる会社に申込むことをおすすめします。