
「ファクタリングって本当に安心して利用できるの?」
「怖い人たちがやっている貸金みたいなものじゃないの?」
ファクタリングという資金調達法は、日本国内ではまだメジャーな資金調達法というわけではありません。そのため法整備も追いつかず、漠然と「ファクタリングは怖い」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ファクタリングは中小企業庁などが利用を促進している制度であり、もちろん合法な資金調達法です。そんな仕組みを安心して上手に活用するためのポイントを解説していきましょう。
ファクタリングを「怖い」と感じる理由
ファクタリングに対して怖いというイメージを持つ方が、どのようなポイントを怖いと感じているか、代表的な例をいくつか紹介していきましょう。
借り入れではないのに審査に通過しやすい
ファクタリングの特徴として、審査に通りやすいということが挙げられます。同じ資金調達法として、銀行等からの融資がありますが、こうした金融機関による融資審査と比較すると、ファクタリングの審査はかなり通りやすいのは事実です。融資と比較すると手軽に利用できることが、反対に怖いというイメージに繋がるケースは少なくないでしょう。
金融機関等の資金融資審査とファクタリングで、審査の厳しさに差があるのは、審査で何を見ているかが違うのが大きな理由です。
融資審査の場合、申し込んだ企業が長期間にわたって、金利とともに返済をしていけるかどうか、中長期的な視点で審査が行われます。そのため申し込み企業の今後の経営方針や、運転資金削減のための提案なども必要となりますし、審査もより慎重かつ厳しくなる傾向にあります。銀行と言っても営利目的で貸し付けを行っていますので、回収ができないという事態は避けなければいけません。そのため審査が厳しくなるわけです。
一方ファクタリングの審査で重視されるのは、持ち込まれた売掛債権が現金化されるかどうかという点です。売掛債権が現金化されるかどうかは、申し込み企業よりも取引先である売掛先企業の問題ですので、必然的に審査対象も取引先が中心となります。
また長期間をかけて返済する借り入れとは違い、将来的な経営方針などは一切審査に関係ありません。その分審査は早くなりますし、厳しくないということになり、赤字経営でも債務超過の状態でも、取引先さえしっかりしていれば審査に通過する可能性があるわけです。
こうした審査の内容を考えれば、審査に通りやすいのが怖いというイメージは少なくなるでしょう。
実際にファクタリングに関する訴訟問題が存在する
ファクタリング契約に関する訴訟問題が発生しているというのは事実です。ただし、誠実なファクタリング契約が訴訟対象になっているわけではなく、ファクタリングにみせかけた悪質な契約があるため、訴訟問題に発展するケースが多いというのが現実と言えます。
ファクタリングという資金調達法の仕組みを理解していれば避けられる問題がほとんどですので、まずはファクタリングという資金調達法に関して、正しい知識を身に着けることを心がけましょう。
明確な法規制がない
金融機関からの貸し付けなどに関しては、法整備が整っています。貸金業法や利息制限法など、貸金契約に関する専門の法律が整備されており、多くの業者はその法律に則って貸し付けをしています。
ファクタリングで交わす契約は、貸金契約ではなく債権譲渡契約です。売掛債権をファクタリング会社に譲渡(売却)することで、その売却益として現金を手にするという契約です。
ファクタリングに関する法規制が存在しないという大きな理由の一つに、この債権譲渡契約は自由契約であるという点があります。自由契約であるため、契約を結ぶ両者が納得していれば、手数料などに関しても自由に設定できます。
自由契約であるため法律で規制することが難しく、法規制がないため、ファクタリング会社も比較的自由な営業が許されているのが現状です。
悪質業者を見抜けるか不安
ファクタリング会社の中には悪質な業者が混じっているのは否定できない事実です。上記の通りファクタリングには専門の法律がなく、法規制が整備されていません。そのためファクタリング会社は開業しやすいという特徴があります。
貸金業者を開業するためには、開業者が国家資格を取得し、かつ開業の認可の届出が必要です。開業するだけでもハードルが高く、こうした認可を受けていない業者が「闇金業者」と呼ばれています。
しかし、ファクタリング会社の開業には資格や免許はもちろん、認可の届け出も不要です。極端に言ってしまえば誰でも開業できる業種であり、認可不要のため優良業者と悪質業者の見分けがつきにくいという問題があります。
闇金業者に関してはその手口などが多く語られるようになり、近年利用者が減りその数も減少傾向にあるといわれています。こうした状況で闇金業者が看板をファクタリング会社に付け替えて違法行為をしているケースも考えられます。
悪質業者を見抜く具体的なポイントはいくつかありますが、何よりファクタリングの仕組みを理解しておくことが重要です。ファクタリングがどのようなものかを理解していれば悪質業者の手口にひっかかる可能性は大幅に抑えることができるでしょう。
利用した後の資金繰りが不安
ファクタリングで一時的に資金難を乗り越えたとしても、その後の資金繰りに不安が残るため怖いと感じるケースもあるでしょう。
ファクタリングは将来的に入金される売掛金を早期現金化するシステムです。言い方を変えれば売掛金の前借りともいえるシステムですので、近い将来の資金繰りが不安になるというのは間違っていません。
ファクタリングを利用するということは、その売掛金が入金されるタイミングで、入ってくるはずの現金が手に入らないことを意味します。そのタイミングで資金繰りが厳しくなれば、またほかの売掛債権をいファクタリングし急場をしのぐことになるかもしれません。
ファクタリングを一度利用したことで、その後自転車操業的な利用が続き、最終的には資金繰りが回らなくなってしまうという恐怖感はあるかもしれません。
ファクタリングを安心して利用するためのチェックポイント
ファクタリングに恐怖感を持つという方でも、安心してファクタリングを利用するために、意識しておきたいチェックポイントをいくつか紹介していきましょう。
信頼できるファクタリング会社を探す
ファクタリングを怖いと感じないためには、信頼できる相手と契約を結ぶのがもっともおすすめの方法です。そのためには、信頼できるファクタリング会社を見つけて申し込むのがいいでしょう。
ファクタリング会社には大きく分けて3つのタイプがあります。
ひとつは銀行など金融機関を背景に持つ「銀行系」と呼ばれるタイプです。背景に持つ組織が信頼できる金融機関ですので、もっとも安心感が高いファクタリング会社といえるかもしれません。ただし銀行系ファクタリング会社の多くは3社間ファクタリング限定であり、2社間ファクタリングが申し込めない可能性が高いという問題があります。また、審査もファクタリング会社の中では厳しいため、この点は考慮が必要です。
続いてリース会社や金融会社といったノンバンクを背景に持つ「ノンバンク系」が挙げられます。背景にある会社が大きければその分ファクタリング会社の信用度も高いといえるでしょう。銀行系ほどではないものの、審査はやや厳しい傾向にあります。会社によっては2社間ファクタリングにも対応してくれますので、銀行系よりも利用のハードルはやや低いイメージです。
最後に特に大企業などを背景に持たない「独立系」があります。独立系のファクタリング会社は、銀行系やノンバンク系と比較すると知名度が低く、顧客を集めるためにサービスを充実させなければいけません。そのため審査もやや緩い傾向にあり、さまざまな契約方法に対応しているケースが目立ちます。
ただし、上で少し触れた悪質なファクタリング会社もこの独立系に含まれるため、利用の際はその会社の信用度の見極めが非常に重要になります。
こうした背景にどのような企業がいるのかという情報と同時に、口コミサイトなどの評判もチェックして、より信頼できるファクタリング会社を選ぶようにしましょう。
ファクタリングの仕組みを理解する
ファクタリングは合法な資金調達法です。中小企業庁などもHPでその利用を推奨しているように、違法行為かもしれないという怖さは一切ありません。
ただし、このファクタリングという仕組みを利用して、違法行為を行う悪質業者は存在しています。こうした悪質業者に引っかからないのが大事なポイントです。悪質業者と関わらないためには、何よりファクタリングという資金調達法の仕組みを理解しておくことが重要です。
まずファクタリング契約で交わすのは債権譲渡契約であるという点を理解しましょう。手元にある売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、その対価として売掛金から手数料等を差し引いた金額を手にするのがファクタリング契約です。
大きなポイントは貸金契約ではないという点と、ファクタリング会社の儲けは手数料の部分であるという点です。
ファクタリングは貸金契約ではありません。そのため金利の支払いも返済も不要です。当然ですが連帯保証人や担保というものも存在しません。契約の際、担保や保証人を求めてくる業者は間違いなく悪質業者となります。
また、ファクタリング会社にとって、儲けとなる部分は手数料の部分です。つまり手数料0%のファクタリング契約というのは存在しないということです。一部悪質業者は、極端に安い手数料、もしくは手数料なし、審査なしなどといった甘い言葉で顧客を集めようとしますが、誠実な営業をしているファクタリング会社ではこうした条件はあり得ません。
しっかりとファクタリングの仕組みを理解し、ファクタリング会社を探すことで、悪質業者に引っかかるような怖いケースは起こり辛くなるでしょう。
中長期的な視点で資金繰りを考える
ファクタリングの利用で怖いのは、自転車操業的な利用が継続し、資金繰りがどんどん悪化していくことです。仮に100万円の売掛債権を手数料10%でファクタリングした場合、手にできる現金は90万円という計算になります。100万円の仕事をした対価が90万円になるわけですから、ファクタリング手数料というのは、利用企業にとっては純粋な損失ということになります。
連続してファクタリングを利用すると、この損失がどんどん増えていき、やがて会社経営に大きなダメージを与えかねません。
ファクタリングを利用する際は、特に売掛金の入金期日周辺の資金繰りや、もっと長いスパンでの資金繰りを想定し、ファクタリングに依存せずに資金繰りを改善していけるように考えましょう。
ファクタリングは一時的に必要な現金を補充するための手段ととらえ、必要最低限の金額で利用することをおすすめします。
まとめ
ファクタリングという資金調達法は、日本国内ではまだ新しい資金調達法のため、「怖い」というイメージを持つ方も少なくありません。しかししっかりとその仕組みを理解し、上手に活用できるようになれば、これほど心強い資金調達法はありません。
まずはファクタリングの基本を知り、自社にとって最も有効に活用できる方法を考えることをおすすめします。