お金を短時間で集める方法 – ファクタリングと手形割引はどう違う

お金を集めることを資金調達と言い、多くの場合これには時間がかかります。

いくつもある資金調達の中で、ファクタリングと手形割引は現金が手に入るまでにあまり時間がかからない方法です。
どうして時間がかからないのでしょうか、また、この二つにはどんな違いがあるのでしょうか?

ファクタリングと手形割引の違いについて、この記事で詳しく見ていきましょう。

お金を集めるための様々な方法

お金を集める方法=資金調達には色々なやり方があります。
時間がかかるけど最終的にたくさん手に入る、すぐに調達できるけど金額は少ない、二つのいいとこ取りなど、とにかくたくさんのやり方がありますから、ちょっと分類してみましょう。

時間のかかる方法

時間のかかる資金調達は、その分調達できる金額が大きかったり、借りる場合は返済期間を長くしてもらえたりします。
最終的に多くのお金を長い時間をかけて使いたいときには便利ですが、今すぐに現金が必要、という場合にはあまり向いていません。

国や地方自治体からの融資

国や地方自治体がお金を貸してくれることがあります。
公的融資といって、小さな会社でも審査でOKが出れば借りることができます。
返済に伴う利息の金額がとても低く、返済にかかる時間も長く設定できるという親切な方法なのですが、審査にかなり時間がかかります。

銀行の融資

上の、公的融資と同じような方法ですがこちらは銀行が貸してくれる方法です。
公的融資よりも審査が厳しく、誰でも使えるというわけにはいかないのですが、その分たくさんの金額を用立ててもらえます。
審査にかかる時間も長いので、急に借りたいときに使う方法ではありません。
会社がスタッフを増やしたり、設備を大きく新しくしたり、事業を増やしたりしたいときに使うことが多い方法です。

ビジネスローン

銀行にお金を借りたいけど融資の審査は待てない、というときに少し早く借りられる方法です。
審査はあるけれどかかる時間が少し短くなり、代わりに利息が高くなります。

投資

この会社を育ててみたい、手助けしたい、という人(=投資家)を募集してお金を集める方法です。
集めたお金を返す必要がないのはとてもありがたいですが、とにかく必要な金額に達するための時間がかかります。集まらないこともあります。
集まった投資家に、会社の経営について干渉されることもあります。

クラウドファンディング

対象のサービスや人を成功させる手助けをしてくれる人を募集してお金を集める方法です。
投資に似ていますが、達成額に応じてリターンを用意する必要があります。
時間もかかりますが、投資のように口出しされる心配はありません。

すぐに調達できる方法

時間をかけずに資金調達できる方法には以下のようなやり方があります。
共通点はあらかじめ金額が決まっているもののやり取りになるということです。
では見てみましょう。

ファクタリング

売掛債権と呼ばれる、AさんがBさんに売った品物の“代金をもらう権利” を他の誰かに売ることで現金を実際よりも早く手に入れる方法です。
売掛債権を買った人は、本当の支払日がきたら上の権利を使ってBさんから代金を支払ってもらうことができます。
売った品物の代金をもらうまでに一週間や数か月待たなければいけない会社が、もっと早く現金が必要だ、というときによく使われています。

手形割引

ファクタリングと同じように、売った品物の“代金をもらう権利”が書かれた手形を売って現金を早く手に入れる方法です。
ただしこちらは、万が一本当の支払日になってもBさんが代金を支払えなかった場合、Aさんが代わりに支払う(=権利を買い戻す)必要があります。

資産の売却

船や車、不動産など持っているものを売ってお金にする方法です。
船や車、建物、設備などは持っているだけで維持費がかかります。使っているなら仕方がありませんが、使っていないのに維持費だけかかっては損ですからそれなら売って現金にした方が得な場合があるわけです。

使っているものでも、所有権を売ってレンタルしている形をとるケースもあります。リースバックといわれる方法です。

カードローン

分類としてはビジネスローンや融資のグループに属しますが、その中ではかなり早く現金を調達でき、審査もあまり難しくありません。
その代わりにとても利息が高いので、利益を出そうとして使うのには向いていません。

ファクタリングと手形割引の仕組み

資金調達の主な方法を大まかにあげてみましたがやはりその中でもファクタリングと手形割引はとても似ていますね。
共通するのはどちらも品物を売った後の“代金をもらう権利”、売掛債権と呼ばれるものをやり取りするという点です。

それではここからは二つの仕組みやメリットとデメリットの違いについて追っていきましょう。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングでは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、買取手数料を引いた分が現金で入手できます。
手数料を支払うことで、実際の支払日まで待つリスクをファクタリング会社に肩代わりしてもらう仕組みです。
買取ですから、実際の支払日に代金が払われなくてもそのお金を代わりに支払う必要はありません。

手形割引の仕組み

手形割引もほとんど仕組みは同じですが、こちらはファクタリングよりも古くから使われてきた方法で、約束手形というものを使います。
約束手形とは、売掛債権が本当に存在することを証明する紙で、有価証券と言われるものの一種です。ファクタリングよりもずっと昔から企業間で金銭のやり取りをする際に現金の代わりをする役目を持っていました。

手形割引はこの約束手形を、銀行や手形割引専門業者などに買い取ってもらい、手形から割引された金額を先に受け取り、実際の支払日になったら手形の本来の金額を銀行などに支払う仕組みです。

ファクタリングと同じに思えますが、実際の支払日にもし支払がなかった場合、銀行や専門業者から約束手形を買い戻さないといけません。
ファクタリングのように売ったあとの回収リスクを負担してもらうことはできないのです。

ファクタリングと手形割引の共通点

ファクタリングと手形割引に共通するメリットは、現金化までのスピードが早い点、資産の流動化による資金調達だという点の二つに大きくまとめられます。

現金化までのスピード

数ある資金調達手段の中でも、ファクタリングと手形割引は特に現金化までのスピードが早い方法です。

ファクタリングは2社間ファクタリングで最短即日から、3社間ファクタリングでも1週間ほど。
手形割引も手形割引業者への依頼なら同様に最短即日の入金が可能ですし、銀行相手でも大抵は1週間ほどで、この点では両者にほとんど違いはありません。

資産の流動化

次に、新たな負債ではなく、すでにある資産を流動化させることで資金繰りとするという点も両者に共通するメリットです。

今すぐに現金が必要だ、というときに毎回新しくお金を借りていてはだんだん経営が苦しくなってしまいますよね。
であれば確実に入る予定のお金を前倒しして手に入れる方が、不要な借金を抱えることもなくて安心です。

中小企業の借金依存を解決する推奨策として経済産業省中小企業庁も、このような資産の流動化による前倒しの現金化を薦めています。

デメリットは?

ファクタリングと手形割引はデメリットも似通っています。

それはファクタリングでは手数料、手形割引では割引料と言われるもので、どちらも利用するにあたって売掛債権の評価に応じた割合の金額を引かれます。

この割合は買い取る側の判断で変わるものの、大体の相場は以下の通り。

ファクタリングの手数料

priority  2社間ファクタリング:8~18%
priority  3社間ファクタリング:1~9%

手形割引の割引料

priority  手形割引業者:年利で5~20%
priority  銀行:年利で1~5%

ファクタリングの方が手形割引よりも高額ですから、同じ金額で同程度の評価の売掛債権を利用した場合は手形割引の方が手に入れられる現金は多くなります。

ただし、手形割引では売り払った手形が万が一不渡りを起こしたときには買い戻さなくてはなりません。

例えば100万円の売掛債権を利用したとします。
手数料や割引料の計算は、本当はもう少し複雑ですがここでは簡単にファクタリングであれば92万円、手形割引であれば95万円の現金に変わるとしましょう。

売掛先が倒産して、本来の支払日がきても誰も売掛金を支払う人がいなくなりました。

ファクタリングを利用していた場合、買い取ったファクタリング会社が損害を被りますが、利用者は特に何もする必要はありませんので92万円は手元に残ります。

手形割引を利用していた場合、買い取った銀行あるいは手形割引業者から、不良債権となってしまった売掛債権を買い戻すため、利用者は95万円を支払います。

ファクタリングの手数料の高さは、このように不測の事態が起こったときの支払リスクを回避できるメリットと引き換えであるとも言えるでしょう。

手形割引はもうすぐなくなる?

現在、政府は紙の約束手形から電子記録債権=でんさいに切り替えを薦めています。
でんさいでは紙の時代にあった発行手続きや印紙代も不要で分割譲渡も可能になるなど、紙の約束手形からコストパフォーマンス面で大幅に進化をとげています。

ただ、でんさいを利用するためには取引関係にある企業がそれぞれでんさいネットに登録する必要があります。
その登録するためにはでんさいを取り扱っている金融機関に申し込みをし、審査を受けなくてはいけません。

導入さえできればとても便利な手段なのですが、初回は事前準備がかなり必要になります。
緊急の資金需要にその日いきなり対応できるわけではないということは覚えておきましょう。

まとめ

ファクタリングと手形割引はメリット、デメリット双方に共通点が多い資金調達手段です。
大きな違いは買い戻しリスクの有無ですが、ファクタリングは手数料を引き上げることで利用者の買い戻しリスクを無くすという方法でした。

一方手形割引は、買い戻しリスクはあるもののファクタリングより低い割引料で同じくスピード入金が可能です。紙からでんさいに切り替えることで手続きや発行コストも大幅に削減されつつありますが、登録にはそれなりの手順を必要とします。

ある日突然現金が必要となったときには慌てずにまずはファクタリングや既存の紙の手形割引で対応しつつ、以降はでんさいを検討してみるのがいいかもしれませんね。

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